観た人
炭谷一郎(以下「す」)原作未読。ザ・フー好き。けいおん好きじゃない。
溝野利一(以下「み」)原作ファン。けいおん好き。CDも買ってた。

・ 映画上映前に流れた予告編の感想
『ボクの妻と結婚してください』
す「『この秋唯一のラブストーリー、ぜひ劇場で見てください』みたいなこと言ってたじゃん」
み「うん」
す「いや、細かい言い回しは覚えてないけどさ、唯一って言ってたのははっきり覚えてるのね」
み「言ってたね」
す「この秋、ラブストーリーは、この映画一本しか上映しないって意味になるよね? 日本語的には。なに? 他の映画配給会社に問い合わせたわけ? 『御社では16年の秋に、ラブストーリーを公開する予定はございますか?』って」
み「そこまで突っ込んでやるなよw」
す「どうせ観ないからいいんだけどさw けど「最高の」とか「ナンバーワンの」とかならわかるけど、「唯一」って枕詞が使われてんの初めて聞いたからさ。びっくりしたわけよ」

『一週間フレンド』
す「少女向けの映画って、なんであんなに白強いんだろうね……」
み「ね。光強めっていうかさ……目ぇ痛くなってきちゃうよね」
す「廊下で手ぇ繋いでるシーンあったじゃん。あそことかほぼ白だったでしょ、もはや。俺、視力検査しに来たのかなって思ったもん、一瞬」
み「なんであんな白いんだろ」
す「プリクラ撮りまくるわけじゃん、女子は。目が狂ってしまっているんじゃない? 尋常じゃない量のフラッシュ浴びてるから」
み「主題歌がサイレントサイレンですね」
す「あのレベルのバンドが武道館やるんだもんね……」
み「ダメっすか!? 自分、好きなんですけど……」
す「うそでしょ!? どこが? いや、ドラムの音はすごいと思うんだけど。ドコドコ鳴ってて」
み「声っすね。単純にかわいい」
す「顔は? なんかメンバー全員同じ顔に見えない?」
み「顔がかわいいバンドではないよね」
す「メンバー全員読モってウリじゃん。やっぱり専属モデルよりは、もっと読者に身近な存在ってアピールの仕方になるんじゃない」
み「なるほど。MIWAとかだとちょっと存在として遠いもんね」
す「そう。専属女優っちゅうよりは、素人モノの女優って感じだと思えばいいんじゃない?」
み「なんで例えをゲスな方面に切り替えた!?」

・映画本編の感想
み「……面白かったですか?」
す「良かったんじゃない? 特に前半」
み「それはよかった。前半はかなり原作に準拠してた感じですね」
す「その言い方だと、後半はけっこう違った感じ? かなりテンポ感狂ってたと思うんだけど……w」
み「だね。後半はかなりすっ飛ばしてた。自分の好きなとこも、かなり削られてたよ」
す「その辺細かく聞いていきたいね。いや、かなり脚本うまいなって思ったの。ほんと。物語の展開させかたとか、アイテムの使い方とか」
み「へー……たとえば?」
す「すげーなって思ったのは、主人公が姪っ子を迎えに行かされるところ。やっぱり、『ただフラフラッと出かけたら、たまたま他のキャラと遭遇しました』っていうよりは、その行動に必然性っていうか理由づけされてるところがいいね。あとは焼きたてパンの使い方。はじめは女の子のために買ってきて、その目的は果たせなかったけど、男の子と仲良くなるきっかけとして役立つっていう。地味なところではあるけど、やっぱり、こういう基礎的な部分がしっかりしてると効果的に印象付けができるよね。あと門番のすり抜けさせ方も上手だったなと」
み「はー。なるほど」
す「けど後半はテンポ感もぐちゃぐちゃだし、どんどんどんどん雑になってったような気がするんだけど……」
み「そうだね。駆け足ってレベルではなかったよなー……。いや、映画としての構成とかもあるから、原作から削られちゃうところが出てくるのはしょうがないんだけどさ」
す「あなたとしては、原作と対比してどうかっていう視点なんだよね」
み「うん。やっぱ、好きだからさ。原作」

・ お金の話
す「これは山田尚子監督の別作品との比較になるんだけど、お金の使いかたもすげーよかった。俺、『けいおん』めっちゃ嫌いじゃん?」
み「そーっすねw」
す「いや、あなたがけいおん好きなのも知ってるから、気を悪くさせちゃうかもしれないけどさ。あの作品はお金って金銭感覚ぶっ飛んでるじゃん。高いギターをポンと買ったり、高校生だけで海外旅行行ったり」
み「そうだね」
す「アニメとか漫画なんてそういうもんじゃん、っていう意見があるのはもちろんわかるんだけど、俺、そういうところほんと嫌いなんですね。けどこっちは、ちゃんと、お金のことケジメつけるじゃん。そこはほんとよかったね。あと、燃えちゃうとこもよかったね。主人公が苦労して稼いだ大金を捨てようとするくらいの感情を母親が持ってるって表現。感情って、言葉で表現されるだけじゃ弱いじゃん。行動を伴ってはじめて、どのくらい大きな気持ちなのかが伝わってくる。やっぱり、序盤は、とにかく物語を作る技術のレベルが高くて驚きっぱなしだったよ」
み「なるほどね」
す「お金の話でちょっとだけ気になったんだけど、小学六年生だっけ、主人公。お金のことって、そんなにも気にならないもんかな? 補聴器、合計で8個捨てたんだっけ? 俺、小学生の頃には金のこと気にしてたけどな」
み「気にならないんじゃない?」
す「ちょっと考えたら、高価なもんだってわかりそうだけど。その辺は人によって違うだろうなっていう気はするからいいんだけど。親にゲーム買ってってねだっても、「高いわ」って言われてた記憶があるからさw」

み「君の名はと同じ現象が起こっていたのが非常に気になったんだけど……」
す「っていうと?」
み「いつヒロインが主人公に恋したのかわかんないw」
す「あー……言われてみるとそうだねw」
み「映画だと時間の経過とかあんまりわかんないけど、漫画のほうでは距離が縮まってく過程とかしっかり描かれてるんだよ」
す「君の名はと同じだって話をしていくと、こっちのほうも『要するに女の子が顔かわいくて、得しまくる話』って思われてもおかしくないよね」
み「女の子はとにかくかわいかったよね?」
す「やばかった。そこはほんとやばかった」
み「「かわいい」を描くテクニックは極まってるって言っていいでしょ」
す「これ以上は難しいんじゃないかな……。そう、この映画を語るうえで、「女の子がかわいくないと話が成立しないじゃん」ってとこは正直、あるよ」
み「そうなんだよね……原作の絵は、ここまでかわいくはないのよ」
す「映画のキャラデザとか正直、かわいすぎるよね。ちょっとこのあと、リアリティラインの設定について話をしたいんだけど、「かわいいライン」ってのもアニメ映画においてはあるんだなって思った」
み「かわいいラインとは」
す「登場する女の子がかわいすぎると、作品の中で起こる出来事すべてに「こんなかわいい子がこんな嫌な目にあうはずない」「そんな素敵なことが起こるのはかわいいからやろ」という視点が加わってしまう。この映画でいうなら、主人公が西宮ちゃんをかまおうとするのは、西宮ちゃんがかわいいからでしょ? っていうわだかまりですよ」
み「んー……そうかなぁ」
す「自殺をやめて、会いに行くのはわかるんだけどさ……その後も通ったりする理由があんまり、やっぱりわかんなくってさ。懺悔したいっていうのはわかるんだけど。自分もいじめを経験して、西宮ちゃんの気持ちがわかるようになったってとこ。そのあとの、「友達になりたい」っていうのはあんまりわかんなかった。作中であんまりちゃんと描かれなかったからこそ、その欠落を自分の脳内で補完しようとすると、「かわいい女の子と仲良くしたい」っていう感情だったら自然に思えるって話」
み「作中ですっ飛ばしちゃってるっていうのは、同意だけどさ。妹から「自己満足だろ」っても言われてるしね。まぁ確かに……」
す「この「かわいい」についてはホントに思うところが多くてさ……。どのタイミングで言おうか迷ってたんだけど、オープニングアニメの曲がフーだったじゃん」
み「そうっすね……ちょっとあそこは全然合ってなかったよね」

す「そう。せっかくアグラフ起用して、ぬくもりのあるエレクトロニカで統一してるのに、なんであそこだけ65年の曲そのまま使ってんのよって話。アグラフの仕事台無しですよ」
み「台無しは言い過ぎでしょw」
す「いや、音質の統一ってのは大事だよ。これもリアリティラインの話に近いんだけどさ」
み「そうなの?」
す「極端な例を出すけど、ビーズとボブマーリーとジョンコルトレーンときゃりーぱみゅぱみゅとユーミンとさだまさしとサイレントサイレンの曲が、一つの映画の中でBGMとして使われてたらどう?」
み「食い合わせは悪そうだよね……」
す「一つの映画の中にジャンルを詰め込み過ぎたら情報過多というか、トーンの調整がめちゃくちゃ難しいと思うのね。コメディとホラーとサスペンスとラブストーリーを一つの映画で出来るかっていうと、できないじゃん」
み「普通はそうだね」
す「一見難しそうでもハイレベルに統一されてて完成度が高いものももちろん、あるとは思うけどさ。情報量を無駄に膨らませないっていうことは重要じゃん。俺がフーとアグラフで気になったのは、音質が違いすぎるってことね。65年当時のゴワゴワしててかさばった音と、デジタル録音を駆使した、サウンドプロダクションや音の位相にもこだわりまくってる音が一つの映画の中で使われるのってどうなの? っていう」
み「そう言われると、そうね」
す「しかもシーンに全然合ってねーじゃねーかっていうね!」
み「そこはほんとに反論の余地がないよね……。けど、映像にはまぁまぁ合ってたとは思うよ」
す「曲がもともとあるんだから、それに合う映像作るだけでしょ? 映像作りのセンスはあるんだから、そりゃできなくはないんだけどさ」
み「まぁねぇ……」
す「っていうかごめん、フーのマイジェネレーション使われてるってのは事前に知ってたわけ。だからぶっちゃけ、俺、この映画に関しては「フーを使う資格があるかどうか」でしか観れなかったんだわ」
み「でしか観れないってのもどうなのよw」
す「いや、まじで。ごめん。フーって俺の神なの。なにをおおげさなって思うかもしれないけど、欧米じゃフーって『ロックンロール・ゴッド』なのよ。日本とはかなり温度差があるのが事実。『キング・オブ・ポップ』がマイケルジャクソンの商標みたいなもんなのと同じで、ロックンロール・ゴッドって言葉はフーにしか使われないんだわ。イギリスのバンドがアメリカでも認められるっていうのはかなり難しいんだけど、フーについてはアメリカでもゴッド扱いなんです。まぁ60年代半ばっはイギリスのバンドがアメリカでもウケやすい土壌はあったんだけど」
み「そうなんだ」
す「ロンドンオリンピックの閉会式で大トリ飾ったのがフーだってことを思い出してもらうと、その辺はかなり明らかだと思うんだけど」
https://www.youtube.com/watch?v=rsGQ8C64WlQ&t=700s
み「へー。そうなんだ」
す「開会式を締めたのがマッカ。もちろんビートルズ時代の曲をやったの。

「へいじゅー♪ どんめっきっばー♪」
み「その話はやめろ! たしかにけいおんの声優だけども!」
すこれってかなり象徴的な話だよ。もちろん音楽……とくにポップ・ミュージックって、イギリスにとっては重要な輸出産業だからさ。そのカタログとしての側面もなくはなかったと思うよ。それでも世界中の人に「イギリスとは」を見せつける意味合いもあるわけじゃん。いま日本で、「東京オリンピックのセレモニーは誰が演出するのか」ですごく議論があるじゃん。多分一つにまとまることはないと思うけど、それでも、「秋元康とエグザイルは嫌だ!」って声はデカい。そんだけこだわるイベントなんだよ」
み「たしかにそうだよね」
す「イギリス人がもろ手を挙げてフーの起用に賛成したかっていうとそうではないんだけど、とにかくそういう存在なのよ。フーって」
み「なるほどねぇ」
す「ごめんね、フーの話もっと長くなるんだけどさ」
み「まじかよ」
す「すまん……じゃ、いったん話を区切るよ。で、フーの日本での認知度がなんで微妙かっていうなんだけど、顔だと思うのよね。日本でも話題になる60年代のバンドって、ビートルズ、ストーンズ、レッド・ツェッペリンとかだと思うんですけど、あの人たちはみんなかっこよかったりセックスシンボルだったりするじゃない。もちろん優れた音楽を作ったバンドだとは思うけどね。音楽性うんぬんよりも、セクシャリティを求める人が多いのは事実じゃん。さっきのサイレントサイレンについての話とも共通する部分があるけど」
み「ふーん」
す「今あげたバンドも、日本でよく聴かれているかって言ったらそうでもないとは思うんだけどね。ビートルズは別格としても」
み「ビートルズはほんと聴いてる人多いよねー。英語の授業とかでも習ったもん」
す「だよね。で、フーのソングライターのタウンゼントとかは、とにかく鼻がでかいのよ。そのコンプレックスについてもいろんなところで語ってるんだけどさ。それが日本での過小評価……っていうかメディアなどで話題に上ることが少ない原因の一つだと思うの。その、顔の美醜で苦労してきたバンドの曲を、「女の子が顔かわいいってだけでハッピーな経験をしまくる映画に使う」。これは許されないわけよ」
み「その思い込みの強さはどうなのよw」
す「まぁ、意地悪で言ってるとこもあるけどさ。言っちゃ悪いけど、フーってのはそんぐらいの存在なんだよ? わかってて使ってる? って言いたい気持ちはやっぱりあるのね。ロックンロール・ゴッドだからさ。フー聴いて音楽始めたってミュージシャンは無数にいるし、フーに救われたってリスナーはホントに多いのね。俺も、人生でめちゃくちゃ辛かった時期にフー聴いて、ほんとに……。文脈を無視して、テキトーな感覚で使ってるように思えて嫌なんだよな。山田監督本人がフー好きで、ただそれだけの理由で使ったらしいじゃない」
み「そうなんだ。自分は知らないっす」
す「あの人、けいおんでもフーの話題出してたけどさ……。俺はあの人が、信頼のおけるフー・フリークスには思えない」
み「信頼できるフリークスってなにw」
す「いや、まぁ、フーの話はいったん切ります。あとでちょっと音楽流しながら言いたいことはまとめて言わせてもらうね……」

み「BGMはどうでした?」
す「よかったよすごく。ちょっとシーンとは合ってないかもって思うところはあったけど」
み「へー。どのへん?」
す「序盤の小学生時代の、いじめてるシーンでも、ちょっとぬくもりのある音だったと思うんだけど。そこだけですね。あとはよかったと思う」
み「全体的にすげーよかったよね」
す「音楽のクオリティって意味だと、ほんとに完成度の高いものになってましたよね。過剰に情緒を煽り立てるようなこともしなかったし」
み「ほんとに寄り添う感じに作られてたね」

み「小学校の担任居たじゃない。あれ、ほんとは高校生編にも出てくるのね」
す「あ、そうなんだ」
み「あの先生、ちょっと嫌な感じじゃん」
す「そうだね。校長の前でちょっとポイント稼ごうとしてるとこも嫌だった」
み「因果応報っていうかさ……高校生編で、ちゃんと罰みたいなのも受けるのよ。そういうとこが好きだったんだけど……全部刈り取られちゃってる」
す「あ、そんな描かれ方になるんだ!? かなり意外だ。映画からだと全然想像つかないんだけど……」
み「原作って、けっこう毒性があるんですよ。それが、きれいさっぱり抜かれてますよ」
す「はー……。潔癖的だよね。よくわかんないけど、山田尚子さんの作品って。良くも悪くも、丸いっていうか。まぁ、俺は、完全に悪い意味で丸いって思います」
み「テイストがとにかく、原作とは全然違う。原作で自分が好きだった成分が抜けちゃってて、そこがほんとにショック」
す「京都アニメーション色に染め上げられてますな。パンフレットも買ってきたけど、原作者のインタビューが載ってない(笑)」
炭谷が買ってきたパンフレットをぱらぱらとめくる。
み「ほんとだ。ふつう、原作者のコメントとか載るよね……?」
す「俺も脚本家の話とか原作者の話が読みたかったんだけどなぁ。ていうかパンフレット高いよ! 800円」
み「ふつうは700円だよね」
す「ちょっと良い紙使ってるのはわかるんだけど……。どこの層に向けて出したんだろうね。作品自体は中高生向けな感じがしたけど、中高生にとっては100円の違いってまぁまぁでかいよね」
み「劇場の中、子ども連れたお母さんとかもけっこういなかった?」
す「いたいた。日曜の昼間だったってのもあるかもだけど」
み「意味わかんないんだけどw なんでこの映画を子供に観せるんだろ」
す「なんかふんわりした優しい色使いのビジュアルで、聴覚障害の話も扱ってる……ウチの子を啓蒙したろ! ってノリじゃない? 子どもに見せたい映画じゃないけどさ。俺からしたら」
み「もしかしたら、親が原作好きだったとかもあるかもだね」
す「ビジュアルだけ見ると、まったく毒っ気なくなってるもんね。文化省推奨とか銘打たれてもおかしくなさそう」
み「原作、そんなんじゃないんだよほんとに。川井っていたじゃん」
す「『おまえは自分がかわいいだけだ』ね。奇跡の駄洒落ネーミング」
み「あの子も原作だと、やっぱりちょっと嫌なヤツなとこがあるのね。筆談嫌がったりとか、陰口言ったりとかさ……」
す「え、そうなの? 確かにちょっとキレイに作られ過ぎだなって思ったんだけど……。ほら、パンフレットの声優さんインタビューのところに「現場で『彼女はほんとうにいい子』『聖母のような子』と伺った(略)」って書いてあるよ」
み「聖母!? うそだよ! 川井そんな子じゃなかった」
す「そうだよね。映画観てるだけでも、ウワこの子デリカシーねーなって思ったし。学級裁判のとことか、教室で過去のことを匂わせたりとか……」
み「誰が聖母のようとか吹き込んだんだろ」
す「声優さんの指導をしたりするのは音響監督さんなんだろうけど……山田監督が立ち会っててもおかしくはないよね。パンフ読んでても、山田さんならそういうこと言いそうって感じするし」
み「そうなの?」
す「他の声優さんも、山田監督からこういうアドバイスされたって言及をけっこうしてる。ていうかこのパンフ自体、山田監督を祭り上げるためのプロバガンダ臭がしますw しんぶん赤○みたいな……」
み「触れると危険な団体名を引き合いに出すのはやめろ!」
す「○○○○の名前出すよりはマシやん。だって、声優各人、全員が山田監督の名前をわざわざ挙げてるのよ」
み「ほんとだ」
す「これはパンフの編集してるところに、山田さんの活躍を引き立たせるように要請があったってことでしょ。京アニが山田さんとスタークリエイターに仕立てたいと思ってるんじゃないの?」
み「たしかにパンフについては山田監督ファンムックの様相を呈しているな……。アグラフと山田監督の対談まで載ってるし。しかも本人の写真まで載ってる」
す「かっわいいよなぁ~」
み「うん。くぁっわいい~♡ しかもなにこの写真。けっこう胸あるじゃん!」
山田監督を横から移した写真を見ながら興奮する溝野。
す「(そうか……? BかCくらいじゃない……?)細田守監督がツイッターで「山田監督にお会いした。噂通りかわいらしかった」ってツイートしてたよ」
み「あの野郎はほんっとに気持ち悪ぃな!」
す「いやしかしマジでかわいいね……。あっ。一番最後のページの、プロフィールの上に小さく載ってる写真。こっちはなんかめっちゃ顔色悪くない? 顔立ちはかわいいままなんだけどさ」
み「ほんとだ……めっちゃ疲れた顔してるね」
す「もしかしてでっかく載ってる写真のほうはフォトショ……」
み「いや違うっしょ! 光の当たり方とか角度の問題じゃない?」
す「(なんで山田擁護そんなに激しいんだ……)まぁ真実は闇の中として。でもこのパンフはやっぱり山田監督をみこしに乗せて担ごうとしてる感じがする。宮崎駿さんが引退発表してから、やっぱりその王座に着こうと必死になってる気がする。ふつーのアニメ映画って、別にクリエイターにスポットなんて当てないじゃん」
み「そうだね」
す「宮崎駿も、尚子ちゃんのことは気に入るだろうしね。吾郎みたいな息子じゃなくって、こんな顔のかわいい娘が欲しかったはず。次の作品では尚子ちゃんを声優として起用するかもしれない」
み「風立ちぬで庵野さんを使ったから?」
す「そう。で、その決定が下される会議のもようがドキュメンタリー映画に撮られちゃう。『尚子がいいんじゃない?』」

み「作品の話に戻りましょう」
す「そうね。川井の声優さんにそんな話を吹き込んだ主犯が誰だったかは明記されていないけど、作品のコンセプトを作った山田監督が『観た人が許されるような作品にしたい』と語ったとは書いてある。パンフに」
み「……この映画で、誰がどう許されたの?」
す「原作にあった、人の罪深さとかは多分削られてるんですよね。なのに「許される」とはこれいかに。許されるまでもないような、軽い罪しか描かれてない気がしますけど。ていうかフーに引っ掛けて話すと「去勢されてる」って言ってもいいんだけどさ」
み「たしかにそうかも。主人公、なんか女の子みたいじゃなかった?」
す「完全に女の子でしょ。ラストの泣き方とか、男があんな泣き方するわけない」
み「全体的にそうなんだよね。女の子だった。細かい言動とか仕草とかも、いちいち」
す「原作だと違うの?」
み「全然違うよ! もっと、フツーに高校生男子って感じだよ」
す「そんなに違うのか……。もっかいフーの話させてもらうと、フーって男のバンドなの。ほんと。一般的に、ザ・フーの最高傑作っていうのは『フーズ・ネクスト』と言われているんですね。アルバム一枚一枚ほんとにすごいし、コンセプトもそれぞれで異なるので、一位というのは決めづらいんだけど、アルバムとしての完成度っていうとこれっていうのはかなり揺るがない」
み「そうなんだ」
す「っていうのも、一曲目が『ババ・オライリー』って曲なんだけど……」

み「すごいイントロだね。なにこれ」
す「イントロの音は、そんなに好きではないんだけど……。71年のアルバムに入ったんだけど、当時としてはシンセサイザーってかなり珍しいものだったらしいのね。で、ピートの好きな宗教家と現代音楽家のデータを打ち込んで作ったものなんですって。音楽的には大きな意味はない。んで、このアルバムのジャケットってフーの世界観をかなり象徴してるんです。荒れ地にポツンと石碑が立ってて、そこに四人のメンバーが立小便をしてるっていう」
み「すごいね」
す「男の世界だっていうことを完璧に表現してる写真。日本だとアルバムのアートワークってあんまり重視されず、アーティストのミニ写真集でしかないものが多いと思うんだけど……」
み「そうね」
す「フーがいかに男かって話を挙げてくと、ほんとにキリがないんだけどさ……。ここで歌われるのって、

Teenage wasteland
It’s only teenage wasteland

ってことなの。十代って時代はただの荒れ地だ。お前がそんなにも苦悩している理由はただ一つ、十代だからだ。十代なんつうのは、荒れ地なんだよ! ただの荒れ地でしかない!」
み「は、はい……」
す「とにかくすげー歌詞なんだけどさ。(※炭谷のフー論は全て一番下に移しました)フーが男のバンドだってことは間違いないわけよ。男性ホルモン過多音楽として知られるハードロック・メタルの始祖もフーって言われているしね」
み「はい」
す「で、何が聲の形に繋がってくるかっていうと、フーってロックンロールの中でもかなり男性性の象徴だなと。主人公がオカマみたいなアニメのオープニングになにフー使ってくれちゃってんの? っていう。少年時代の主人公の声オカマみたいだったやん」
み「あれはたしかにきつかったね……」
す「つぶやくような言い方してるところはよかったとは思うんだけど。これは余談っていうか深読みレベルの話になっちゃうけど、山田監督の作品ってほとんどそういうところあるじゃん。けいおんにトンちゃんって亀が出てきてたけど、あれは男性器の象徴なんじゃない? 潔癖的な女の園への侵入を許された、唯一のペニス。響けユーフォニアムでも、管楽器を加えることがフェラチオの象徴だって発言して、ツイッターで炎上した人がいたけどさ。山田監督、どこかに男性器のメタファーを入れないと気が済まない人なのかもしれない。ここではフーがペニスですよ」
み「フーに関しては炭谷さんのおっしゃる通りだと思うよ」
す「単純に選曲が良くない。フーは『トミー』ってアルバムで、一人の主人公を立てて物語を描くロックオペラってこともやってるのよ。その主人公は、耳が聞こえないし目が見えないし喋れないっていう三重苦なの。それも先天的な物じゃなくって……まぁあとでしゃべります。ただこっちのほうがぴったりやんって話」
み「たしかにテーマはこっちのほうが合いそう」

す「やっぱり山田監督、男を描けないんじゃない? 俺はけいおんの映画までしか観てないんで、あんまりわかんないけどさ」
み「ほぼ観てないじゃん」
す「あなた、たまこラブストーリー観た? あれはラブストーリーだと聞き及んでいます」
み「観たよ」
す(コイツ、意外と山田尚子作品観てるやん……)
す「あれはどうだった? 男描けてた?」
み「……(黙って首を横に振る)」
す「描けないんでしょー。男を。知ったような口利いちゃうと、創作家といえど、普段の生活の中での思考パターンって作るものに滲み出ちゃうと思う。男性的なものに接する時間が本当に本当に短いのでは……」
み「男が主人公でもこうなっちゃうってのは、たしかに特徴的だよね」
す「なんかよく見てみりゃ、この対談でも、なんかアイドル扱いみたいなのを感じるなぁ!」
み「そう? どんなとこ?」
す「ほら、山田ちゃんの発言。アグラフさんが、山田監督のどの作品を観たのかって質問されて『たまこラブストーリーですね』って言ったあとの山田ちゃんの反応。『ふはっ。(照れ)』」
み「あざとい……」
す「まだまだあるよ。アグラフさんが『十代の時、僕にもあった自分でもわからないもやもやとした気持ちがそのまま描かれていて、実際そのキャラクターが何を考えてるのか理解できないし……』って発言に対して、『それって、みどりちゃんのこと? です?』。原文ママですよ」
み「あざとい! それ、そのまま口語体で掲載してるあたりもあざといな!」
す「トドメ。アグラフさんが『今回の仕事を通じて、山田尚子監督のことを改めてとても尊敬しています』。に対して、『★○∥↓△゜〟¨◎…!(ありがとう御座います。)』これも原文ママ」
み「みこしに乗せようとしてるっていうの、わかってきた」
す「でしょ? ……まぁ言うても、山田監督ってもう30越えているわけだよね……?」
み「けいおんがデビューだもんね。あれもけっこう前だし……越えてるね」
す「その歳でこの扱いをされるのは、本人の心境的にはキツいもんがあるんじゃないか……?」
み「まぁかわいいからいいんじゃない?」
す「そうね。あっ! よく見たらこの写真の山田ちゃん、ポニテにしてるじゃん。言っちゃうよ! 「ツキ!」って言っちゃうよ。アグラフに言っちゃうよ!」
み「くそ……!」
す「あー……しかも首筋にほくろあるじゃん。うわー。絶対エッチの時に重点的に責められるじゃんこれ。ちんこで突っつきたくなるね」
み「あのさぁ! AVとかでもよく見るけど、なんなのそれ? なんで女性の身体にペニスと叩きつけるわけ?」
す「わからん……縄張り的な? 自分のにおいを相手につけたいんじゃない? 西宮ちゃんと将也くんがエッチしたら、当然耳の傷跡にペニスをくっ付けるかと」
み「ほんと意味わかんない! やめてほしい」
す「でも多分監督がフー好きになったの、彼氏からの影響とかなんじゃないかなぁ」
み「なんでそう思うの?」
す「女が古い音楽好きになるのなんて男からの影響に決まってるじゃん」
み「偏見に満ちすぎてて、コメントしたくない言葉ですね」
す「絶対にセックスの時に流れてたんだろうなぁと。「ママママイ、マイ、チンコー」とか言われたはず。マイジェネレーションのどもりを真似ながら」
み「そんな最低な男とはセックスしないでしょう」
す「いやわかんないよ? 女子大生って全員著しく頭が悪いので、そういう男の前でも平気でパンツを脱ぐと専門家も指摘している」
み「最低すぎる……コメントしたくない」
す「そこで最低な男と関係を持ったばかりに、山田監督は男性嫌悪を発症したのかもしれないね」
み「っていうかセックスの時に、音楽なんて聞く?」
す「俺はガンガン流してるけど」
み「実家だからじゃない?」
す「ラブホでする時も流すけど。全然流さないの?」
み「うん。音楽に気を取られちゃう」
す「音楽流れてるくらいがちょうどよくないか……? セックスってそんなに集中してするもん?」
み「リズムを持っていかれてしまう」
す「自分のセックスにあったリズムの曲流したらいいじゃん。一時間セックスするとしたら、短めのアルバムだったら二回聴けちゃうよ?」
み「だから、聴いちゃうんだって。音楽を」
す「じゃあフェラしてもらってる時だけ聴くとか……」
み「5分もないでしょ」
す「5分あったら一曲は聴けるじゃん」
み「そうか……そう考えたら、女性ってセックスの時にすること少ないし、男の好きなCDとか聴いてたら覚えちゃうのかもしれないね」

す「それはそれとして、山田監督はご処女あそばれているのでは」
み「自分もそう思う」
す「あなたが奪っちゃうしかないんじゃない……? あ、でも京都に住んでるのか(僕たちは神奈川県に住んでます)」
み「そこなんだよねぇー! そこが問題!」
す(なぜ「そこが唯一のネック」みたいな言い方をする……?)
す「『だめどすえ溝野はん……尚子の生八橋はぶぶづけのごとく濡れそぼってしまうどすえ』とか言ってくれるね」
み「そこまでベタベタな京都弁かはわかりません」
す「そういえば、山田監督の作品って潔癖なんだけど、それって男性器の存在を許さないって意味。女の子同士の接触はむしろ積極的に描かれるじゃん? 聲の形でも、佐原さんが西宮ちゃんのおっぱい揉むシーンはしっかり描いてる」
み「あったね」
す「ああいうのって、やらなきゃいけないもんなんですかね? ああいうシーンがないと、喜べないもん?」
み「わからん……」

す「作品の話に戻るけど、とにかく後半がハイスピード! 過ぎてついていけなかった。伏線って言ったらいいのかわからないけど、活きなかった要素多すぎないか?」
み「たとえば?」
す「佐原さんがデザイン学科だっちゅう設定……。で、植野ちゃんのデザインセンスを褒めてたりするじゃん。あれなんだったの?」
み「そこもさぁ……原作だとちゃんと意味あるのね。デザイン学科って設定じゃないとできないってネタがあるのよ……」
す「そこも削られちゃってたと」
み「じゃあ普通の高校って設定でいーじゃんって話になっちゃうんだけど。とにかく削りすぎ。西宮ちゃんが自殺する理由も全然意味わかんないじゃん」
す「そーだよねぇ……。あと、川に落ちた主人公を島田が引っ張り上げたってやつ……あれって原作だとちゃんと描かれてるの?」
み「いや、言及はないですね……」
す「家が滅茶苦茶近いとか、そういう話も?」
み「なかったはず」
す「俺、むしろ島田と主人公の関係がどうなるかってのがかなり気になってたんだけど……原作でも回収できてないポイント、あるんだね。あと、その周辺のシーンで気になったとこだけど、植野ちゃんって父子家庭?」
み「そういう話はなかったと思う」
す「そーかぁ。花火のシーンで、みんなが花火を見てるところが写ってたけど、植野ちゃんはお父さんっぽい男性と、弟っぽい子どもたちといたと思うんですけど。で、子どもが上のちゃんの脚に抱き付きながら観てる」
み「そうだっけ」
す「多分……。そう考えると、西宮ちゃんのお母さんに「産んでんじゃねーよ!」って怒るところも合点がいく。植野ちゃんのお母さんが母親としての責任を放棄したってことなんじゃない?」

す「細かいけど気になったところを一気に挙げちゃうと……。主人公が川の上でみんなのことを糾弾するシーンあったじゃないですか。あのシーンすごい嫌い」
み「うそ。なんで?」
す「主人公が自暴自棄になるシーンが好きじゃないからです……。あと、真柴君かわいそうじゃない?」
み「たしかにそれはある……原作だと、そんなに悪いシーンじゃないんですよ」
す「原作読まなきゃいけない気がしてきたw 読んだらまた話そうよ」

す「あと、永束君とゆづるが便利キャラ過ぎないか……? みんなが一堂に会してるビジュアル見てもらうとわかると思うんだけど、この二人だけキャラ化が強いと思うのね。記号化された存在すぎるっていうか」
み「自分は二人とも好きだけどなぁ」
す「永束君はほんとに好感持てるキャラ。好きだよ。けど便利に使え過ぎちゃう感じがします。彼がギャグっぽく使われてるシーンって、かなりアニメっぽいやり方で笑わせてくるよね。これは自分が結構気にする「リアリティライン」の話に繋がるんですけど。アニメ映画観に行ってリアリティがどうとか突っ込むのも酷な気はするけど、「聴覚障害」という実在の障害を、前面に押し出して扱ってる作品じゃない。だからそこは気にせざるを得なかったというか」
み「んー……なるほどなぁ」
す「あと、主人公が植野ちゃんと再会を望むけど、理由が全然わからない」
み「原作だとあんなんじゃないんですよ」
す「どんだけ変わってるの!? やばい、全然想像がつかない……。けど、非現実的な要素を入れまくって、現実に存在する問題を作品に入れちゃうのは問題だなと思った。この作品が良いか悪いかは別として、その支店は入ってしまう」
み「多くの人に届けたいって思うから、そういうエンターテイメントな要素を入れることにしたんじゃないの?」
す「エンターテイメントにするっていうのは線引きの難しい問題。山田監督が「観た人が許される作品にしたい」って語ってたらしいけど、アートとエンタメの違いを一言であらわすと、観た人がスカッとした気持ちで現実に戻っていくのがエンタメ。観た人が、その作品を観る前までは考えもしなかった問題を持ち帰らざるを得ないのがアート。乱暴に一言で言うと。この映画は圧倒的にエンタメに振り切った。けど観た人が、現実で、障害を持つ人に合った時に拒否反応を示さないか? 障害が美化されている、ということは一つの問題となる。一人、聴覚障害のことを学ぶ意欲を持ったとして、十人が美化されたイメージを持ってしまったらそれは問題」

す「あと、お母さんヒステリックすぎじゃない?」
み「原作だと、そういうふうになった理由も描かれてて……」
す「そうか……お父さんとは、離婚したってことだよね?」
み「そう」
す「障害を持った子が産まれたから離婚って、酷すぎでは……。けどゆづる君は作ったんだね。しっかり。……まぁ障害を持つ子を育てる辛さが蓄積されたってことなのかなぁ。けど離婚しても、障害がなくなるわけじゃないのにね。お父さん鬼畜だね」

す「あと、将也のお母さん優しすぎじゃない? あんなにやさしいお母さんの元で育っといて、将也君、小学校時代クソ過ぎない?」
み「お母さんが仕事で忙しくてかまってあげられてなかったんじゃない?」
す「ていうかあの将也ってネーミング、SHOW-YAじゃないの?」
み「なにそれ」
す「80年代に出てきた女ハードロックバンド。

https://www.google.co.jp/search?q=SHOW-YA&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjAksDXnbzQAhWHiLwKHejpDIoQ_AUICSgC&biw=1366&bih=672
アメリカのハードロッカーみたいな髪型してるわけ。ナオンの野音っていうイベントを日比谷野外音楽堂で開催したりしてました。最低のネーミングだと俺は思うわけですが。日本の「ライオットガール」みたいなのって好きじゃないんですよ」
み「そうなの?」
す「スリッツってバンドがいるの。イギリスの女性パンクバンド。むしろ将也の母ちゃんのヘアスタイルってこっちの人たちに近いんだけどさ……。ジャケットがすごいのよ。メンバーが裸をさらけ出してて、アフリカ原住民みたいな恰好をしてるの。
slits-cut-orihinal
要するに男性から押しつけられる女性像を完全にぶち壊してる。バンド名だって「割れ目」の意味だしね。海外ではそういう活動をするミュージシャンって多いんだけど、日本に入ってきたとたん、「女だてらに過激なことしてまんねん」みたいな安っぽい表現になってしまう。なので将也の由来がSHOW-YAだとしたら、俺が好きなものではないなぁと」

す「あと、序盤で、将也君がいじめられるようになったのに反抗しない理由がわからん。お母さんからの「いい子にするように」って言いつけを守ったってことなのかもしれないけど……さすがにそこまでされたらやり返すでしょってレベルだったじゃん。あるいは先生に言うとか」
み「いじめらる側に回ったことがないから、どうしたらいいかわからなかったんじゃない?」
すあー……。でも、そのあと西宮に「なんでお前怒らねぇんだよ」って言うじゃん。「ふつうは怒る」って発想があったってことだよね。中学に上がってから、バンドのCD持ってったりするじゃん……。かつて仲が良かったから、そこに戻らなきゃって思っちゃうっていうの、ちょっとはわかるんだけど、中学に上がってからってことは、時間がかなり経過したあとじゃない。その辺わからんかった」

す「最後のたたみ方がやっぱり好きにはなれない。前半は信条の流れをすごく繊細に丁寧に描いてたから後半はほんとについていけなかった。とくに主人公が入院して以降……」
み「そこはまぁ……同感ですよ」
す「原作者さん、「女ってめんどくせー」って思ってらっしゃらない? なんか、後半、女の激情で話が展開していくところが多かった気がするんだけど……」
み「女めんどくせーは思ってるかもしれないね」
す「序盤の話の流れが本当に綺麗だったから、後半のそーいうところは、観てて、雑に思えてしまった」

す「あとさ、これもちょっとだけ気になったんだけど、最近の若い人って、「幼なじみと再会してまた仲良くやる」って話、そんなに好きなの? あの花見てても思ったんだけどさ」
み「自分は好きだなぁ。そういう話」
す「こう……今ってとにかく情報の流通も変化も高速化してると思うから、かえって、普遍的な関係とかに憧れる傾向があるのかもしれないけど……。望んでも叶わなくない?」
み「叶わないからこそ欲求されるっていうのはあるかもしれないね。俺らの世代って学区とかが撤廃されたりしてたし、人間関係とか超変わりやすい気がするし」
す「携帯普及してるし、今の時代の方が、誰とでも連絡とりやすいはずなんだけどね。……俺、けっこう昔に、そういうような話考えてたことあったじゃん」
み「あったね。早いとこやっとけばよかったですね」
す「あの花が一番代表的な所な気がするんだけど、そういう作品多いよなーって思ったので。あ、ていうか、声の形があの花に影響受けたって可能性もあるのか。時系列的に考えても」
み「そうね」
す「俺マジで育ちが悪いので、幼なじみとか、けっこう……あんまりいい大人にはなってないなーって思うのね。まぁ、10代の頃だったら、そういうのに憧れてても許されるのかもね」

す「これはけっこう根源的な話にはなっちゃうんだけどさ、「リア充になりたい」って願望を持ってる主人公が、西宮さんと一緒にいようとするってのはちょっと厳しくない? だって、言ったら悪いけど、西宮さんと今後付き合っていって、普通のデートばっかしてたら、好奇の視線にさらされまくっちゃうわけでしょ。劇中でも映画館デートしてたけどさ……」

み「aikoの主題歌のアニメーション、雑でしたね……」
す「ね。大御所起用しといてなんだったんだあれは……」
み「ていうかなんでaiko使ったんだろう」
す「ふつうに有名人使いたかっただけでは。主題歌の名前も象徴的だね。『恋をしたのは』。「いつのまに恋したんですか!」っていうアイコからの突込みのように思えますね」

す「こんなところですかね」
み「好きなキャラっていました?」
す「ウーン俺は本当に、キャラクターを好きか嫌いかって見方はできないんですけど……外見だけで言ったら植野ちゃんか西宮ちゃんじゃないですかね巨乳って意味だとやっぱり西宮ちゃんって話になってくるんですけど植野ちゃんって多分エッチする前の段階からなんかすごい濡れちゃってそうな感じするじゃん。甲乙つけがたいね」
み「やっぱり「キャラデザかわいすぎ」っていう問題がここには立ちはだかってくるね」
す「原作読みます。読んでからまた話しましょ」

原作読んでからまた話すことになりました
そちらもアップする予定です