このブログはフィクションである可能性がなきにしもあらず。実在する人物と関係があるようでないかもしれません。

登場人物紹介
炭谷一郎 ミソジニスト。顔面レベル下の中。
奇なり いろいろやっている人。しっかり者。通称きー坊。好きな言葉は「ぷんぷき」
けいまる いろいろやっている人。関西人。イケメン。

※注意! 本ブログは濃厚なホモセックス・女性蔑視的な描写があります。
ところどころBGM動画を張ってあるのでお好みで再生してください

『チュンチュンピヨピヨ』
「うーん……もう朝か。昨日はセックスしてガンガンに精子出したからぐっすり眠れたなー! やっぱり健康的な生活を送るためにはセックスは必需なんだなー。セックスなしの生活なんてもう考えられまへんわーwwww まだ隣で夢の中にいるパートナーの頬にキスしてやろう。チュッ♡ 窓から差し込む柔らかな日差し、ベランダから聴こえる小鳥のキュートなアカペラ、ゴミ箱の口には昨日のコンドームが引っかかってる。これ以上何を望もうかというくらい完璧な朝だなー! しかし彼はまだ目を覚ましそうにもない……。そうだ、ツイッターでも見て、彼がおっきしてくるの待ってよーっと!」
炭谷はスマホでツイッターにログインした。
そのタイムラインには……

『炭谷気持ち悪すぎる……苦しみながら死んでほしい』
『マジでキモくない……? 世が世なら生まれた時点で悪魔の子として処刑されてるレベル』
『こういう変態男が一人いるだけで何百人の女の子が男不信になると思ってんの?』
『早く見つけ出して焼き討ちにしよ』

「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁl!!!!!!」

事の始まりは二週間前……。

「はー、ツイッターは楽しいなぁ……何時間でも入り浸ってしまうよ」
その日も炭谷はPCでツイッターを開いていた。
「ん……なになに? 『男性が女性に○べられる○○?』 なんか変なまとめがあるなー。まぁいいや、読んでみよう」
リンクを開く炭谷。
「なんじゃこりゃ! 頭トチ狂ったフェミニストの妄想やんけ! 女っていつもこんなことばっかり考えてんのか~……なんかストレス溜まって大変そうだなぁ」
おかしな方向の優しさが働く炭谷。
「そうだ! エロサイトのURL送ってやろう。性欲処理が数年単位で滞ってるからこんな変なことばっかり言ってるんだろうしな!」
炭谷はお気に入りフォルダから、しみけんが人妻をイカセまくる動画をチョイスしてツイッターでリプライを送った。
『見るからに性生活にご不満抱えてらっしゃるのまる出しですね! こちらの動画を観てみては? リフレッシュできること請け合いですよ~☆彡』
「あー、いいことした後は気持ちがいいなぁ! この気持ち良さの余韻が残ってるうちに一発オナニーでもぶっこくかな♪ はっ……ハヴンアァァァッ!!!(喘ぎ声)」
大量に射精した炭谷は気持ちよくぐっすり眠った。

次の日。
「ムチュッペロペロジュルリンコグポグポンッ!」
収録ブースの中で、ヘッドホンを耳に当てながら一心不乱にチュパ音を出す炭谷。
「山口くん! 今日も一発目からいいチュパチュパしてるね~」
「あっ、社長! ありがとうございます」
「その調子でやっていれば、今に君もラブ○イブ声優のチュパ音を担当させてやるからな!」
「本当ですか? うわーい、あのラブ○イブ声優のチュパ音をあてられるなんて夢のようだなぁ。頑張りますっ!」
まさか声優本人が過去に出演したAVが発掘されるなど誰が予想しただろうか……(執筆時点では流出していませんでした)。

週刊ダイアモンド第45451919号
『合同有限株式会社キャンタマコリコリコーポレーション社長インタビュー』より抜粋
インタビュアー「取材に応じてくださりありがとうございます。今日はキャンcoのイノベーション精神の秘密について伺わせていただければと……」
玉しわくさ彦社長(以下「た」)「マスターベーション精子ですか? そうですね、昨日は風間ゆみの……タイトルを失念してしまいました。お気に入りの作品があるんです。これまで何度もお世話になっているんですが……ちょっとタイトルをググってもいいですかな」
イ「イノベーション精神です。マスターベーション精子ではありません。だいたい風間ゆみのAV、ほとんど全部同じ内容じゃないですか」
た「おっと失敬。最近年のせいか、精子は少ししか出んのですわ」
イ「だから、聞いてませんよ! それではまず、きゃんCoが行っている事業について簡単に教えていただけますか」
た「はい。当社のメイン事業は『チュパ音収録受託』です。ゲームやアニメ、映画などでフェラチオシーンは誰もが目にしたことがあると思います。そういったシーンの、チュパチュパ音の制作を我々が引き受けているんですな」
イ「ちょっと立ち入ったことをお聞きしますが、そういった仕事の需要はあるものなのでしょうか」
た「一言で言えません。我々がこのような仕事を始める前までは、これが独立した仕事になるなんて誰も考えていませんでした。それは声優がチュパ音を出すのが当たり前だと考えられていたからですね。ですが考えてもみてください。声優は『声のプロ』です。チュパ音は声ですか?」
イ「言われてみると、声の演技とチュパ音は少し違うかもしれません」
た「そう。たった一つの「チュパ」にもドラマが隠れているものなんですよ。たとえば舐めるモノの大きさはどうなのか。舌や口の大きさや形は? 歯並びは? 倦怠期の夫婦の行為なのか、初めて関係を持つ若い男女なのか……一つのチュパを出すためにも無数の要素が絡んでくるわけですね。そして、構想はあっても、チュパを鳴らす技術があるかどうか。一昔前までは、それは声優さんの仕事でした。ですが、声優さんは『声』で演じるのが本業。チュパに気を取られてそちらがおろそかになってしまっては本末転倒でしょう。私はそこに目を付けました。チュパに悩まされて業界を去っていく子だって、何人見届けてきたことか」
イ「玉しわさんは、もともと声優業界で仕事をされていたんですか?」
た「ううん。趣味でセルフフェラをしている時にこの仕事の着想を得ました。見届けてきたっていうのは女性声優のブログとかインタビューとかツイッターの裏アカウントから字得た情報をもとにした妄想です」
イ「なるほど。ビジネスのアイデアはどこにあるかわかりませんね」
た「そこで私はこの会社を立ち上げ、最初はエロゲー会社に売り込みをかけました。はじめはもちろん苦戦しましたが、セルフフェラで鍛えられたフェラチオテクニックを披露したりしたところ、たちどころに仕事は増えていきましたよ」
イ「それって枕営業……」
た「寝てはいないのですから、枕とは言えんでしょう」
イ「なるほど」
た「ともあれ、今ではほとんどのエロゲー・エロアニメ会社さんがチュパ音をアウトソーシングするようになっているのは、みなさんの知るところでしょう。また、チュパは言語スキルが必要ないため、日本で収録した音源を海外の作品に使用してもらうこともできます。現在、海外でのシェアも着実に伸びていっていますよ」
イ「メイン事業がチュパ受託とのことですが、今後の事業展望は?」
た「はい。やはり我々はチュパのノウハウを有しておりますので、これからチュパまんじゅうの販売を始めようと思っております。また、飲食業への進出や、お台場に『チュパ音ワールド東京ベイサイド』の建設を予定しております」
イ「なんか、過去に大コケした企業の末期とそっくりでは……」
た「なにか言いましたかな?」
イ「いえ、何も。今日はありがとうございました」

炭谷はキャンタマコリコリコーポレーションで、チュパ音師の仕事をしている(契約社員)。
総勢138人のチュパ音師が在籍しているチームで、今炭谷はルーキーとして名を馳せている。
火星人のオスと金星人のメスが1971年のロンドンにスパイに来ていて、お互い人間に擬態した状態で恋に落ちるが、互いに正体をさらけ出したところ実は殺し合わなければならないさだめと知り、気持ち悪い姿かたちの異星人が泣きながら愛し合う(BGM:マゴットブレイン

)という複雑なシーンのチュパ出しを成功させたことで、チュパ音シーンの今後をになっていくのは彼だという認識が広まったのだ。
「山口……どんどんチュパの腕を上げていくわね……おそろしい子!」
現在、チュパ音界のPJハーヴェイと呼ばれ、名実ともにトップチュパリストである珍々院珠子(ちんちんいん たまこ)は、柱の陰でハンカチを噛みしめながら炭谷を睨みつけていた。
不動のチュパキングであった彼女だが、炭谷の登場によって自分の地位が脅かされるのではないかと怯えているのだ。
「潰す……やつのことは潰さねば! 手始めのバレエシューズに画びょうを入れておいてやるわ! オーッホッホッホ!」
炭谷が足の裏を血だらけにして痛がるところを想像し、高笑いを上げる珍々院女史。
炭谷がバレエシューズを履くことなどないということに、彼女は気付いていなかった……。

その日の夜……仕事から帰ってきた炭谷は、またツイッターを開いていた。
「ん? 昨日の『チーズでも発酵させてるんですか?』みたいな臭いのしそうなフェミさんからリプライがきてるな。感謝のあまり『抱いて……』的なメッセージだったりしてwwww」
『それはセクハラです。謝罪していただけないようならこちらにも考えがありますよ』
「うーん……なんか怒ってるなぁ。動画が気に入らなかったのかも……」
『変な動画を送りつけてしまってごめんなさい。お口直しに、こちらの動画とかいかがですか?』
今度はムーミンがSっぽい女優に責められる動画を送りつける。
「しみけんがダメならムーミンっしょ! これできっとあの女の怒りも発散されること請け合い! うーん、いいことした後は気持ち良いなー! 余韻が残ってるうちに(以下略)」

「パパ、テストが返ってきたよ!」
炭谷の姉と父がリビングにいる。
姉は自慢げな表情で、採点されたテストを見せていた。
「ははははは。美文(みふみ)は今回も満点だったんだな」
父は満面の笑みを浮かべながら姉の頭を撫でる。
幸福な家族の風景だ。
「で、お前はどうだったんだ?」
父が炭谷の方へ向き直る。
先ほどまでとは違い、顔には表情がなかった。
「……」
炭谷は膝の上で握りしめた答案用紙に書かれた赤字の点数を思い、返事ができなかった。
「雄太、早くしなよ」
「あっ!」
姉が炭谷の手からテストを奪い取り、父へ渡した。
「美文、ありがとう。……なんだこの点数は。雄太、自分で読んでみろ」
「20点、です……」
父さんに褒められたい……姉のように頭を撫でてほしいと思うのに、テストはいつもこんな結果ばかりだった。
「お前、こんな点取って恥ずかしくはないのか?」
「ごめんなさい」
父と姉は冷ややかな目で炭谷を見る。
「頭は悪い、徒競走ではいつもビリ、音楽も家庭科も図工も全部だめ。お前、いったい何ならできるんだ?」
父は大きなため息をつきながら言った。
「おまけに顔は不細工だし、最悪に趣味も悪いんだもんね……結婚も無理だろうなぁ」
テーブルに頬杖をついた姉が、炭谷の顔をじろじろ見ている。
姉の品定めの視線のせいで、彼は女の人に見られることを嫌うようになった。
「パパ、こいつどうしようもないよ。もう行こうよ」
「ははは。みぃ、行くか」
「うん、パパ」
姉は、父の身体にしがみついた。
「むんっ」
父が気張り声を出すと、足の裏からジェットが噴射されて地上を飛び立っていった。
「父さん……父さん! 行かないでー! 僕、父さんに話したいことがまだまだいっぱいあるんだよ! お願い……置いていかないで! 父さぁーん!!!」

「うーん……父さん……父さぁん……」
『ピリリリリリリリリリリリリリリリリ』
「う……むぁ……?」
朝を知らせるアラームが携帯電話から鳴り響いていた。
手を伸ばして音を止める。
寝癖だらけの頭をかきむしりながら、布団の上に座り込んで少しぼんやりとする。
「夢か……」

その日の夜。
『日本フェミニストの会本部に報告させていただきました。近日中に弁護士より書面が届くかと思います』
「このアマ……こっちが下手に出てりゃ調子に乗りやがってからに……!」
炭谷はとんでもないことになりつつあることに露ほども気付いなかった。
「なーにが日本フェミニストの会じゃ舐め腐りきってからに! とりあえずググってやるか……」
検索してみた結果、フェミニストの会の公式アカウントが見つかった。
「なになに、上島千陽(うえじま ちよ)を代表とする、日本における女性の……小難しい理屈ごちゃごちゃ並べやがって! 結局お前らが欲しいのはコレだろうがよ! 食らいやがれ!」
炭谷は自分の性器を写真におさめ、公式アカウントに送り付けた。
「はー、俺のデカチンを人に見せつけてやったという快感で体が震えるよ! よーし(以下略)」

次の日の夜……。
「今日もいいチュパ出したなー。さてと、ツイッターにログインしたろ。あれ……通知が100件以上あるぞ……? バグってるのかな」
『私は日本フェミニストの会の会長の上島というものです。今回、会員からの報告を受けて調べさせていただきましたが、あなたの言動は今日の男女平等参画社会にあるまじきものです。我々はあなたを断固糾弾します』
「な……なんやこのババア……なんでブサイクなのに、満面の笑みの自分の写真をアイコンにしてるんやろか」
『あなたのツイートをまとめて、公開させていただきました。削除などしてももう遅いですよ。あなたが山口雄太という名前であることまですでに調べがついています』
「な……なんやて……?」
おそるおそるリンクをクリックする炭谷。
『はー、今日も通勤電車でかわいい女子高生がいたからチンポこすりつけたったわ! 朝から気持ちいー♪』
『近所のコンビニのババア店員が愛想悪すぎて萎えまくり……年も年だし閉経とかでホルモンバランス崩れとるんやろなぁ』
『女と飯食いに行ったんだけど、『彼氏いる』とかほざきやがるから、トイレ行く振りして帰ったったwwwww ごちそうさまでしたーwwwwwww』
『ブスはテレビとか出ないでほしい せっかくのご飯がほんとまずくなる……』
そこには炭谷がこれまでつぶやいた女性蔑視的なツイートが保存されていたのだった。
「ギャー! このババアなんてことしてくれたんや!」
そのうえ……。
『やだ……気持ち悪い……この人』
『前々からキモいと思ってたんだけど、ついに炎上しちゃったね』
『こいつにフォローされるとか、もうレイプみたいなもんだよね』
このような罵詈雑言のコメントが100件以上ついていた。
「……」
『パタン』
炭谷はノートパソコンを閉じた。
「見なかったことにしよう! こういう時はSNSからちょっと遠ざかって、ITデトックスするのが一番だってan anにも書いてあったしな! ったく、ブスどもがほんとうるせーうるせー。男に誘ってもらえないからほんと暇してるんだろうなー。かわいそうに。なんだかムカムカがおさまらんから、オナニーしよっと」
果たしてインターネットはそんなに簡単に、彼のことを許してくれるだろうか……。

三日後。
「ヂュバッボバッボバッボズルルルンッ!」
「山口君……ちょっと話があるんだ」
「あっ、社長、どうしたんですか?」
「実は……君にココを辞めてもらいたいんだ」
「えーっ!? なんでですか突然!!」
「実は、わが社に君に対する抗議のメールが山ほど届いているんだよ。電話でも君についての問い合わせ、苦情が次々と入ってくるんだ」
「苦情っていったい、何のですか!」
「君、気付いておらんのか……? 君は今、ネットで大炎上しているんだよ」
「えーっ! あれまだ続いているんですか?」
「日本フェミニスト協会からも直接抗議が来ている。君を雇用し続けるのであれば、それが我々キャンタマコリコリコーポレーションという組織の総意であると判断すると、そう言ってきておるのだよ」
チュパ音制作という仕事についての突込みはなかったのであろうか……。
「すまんね山口君……会社を守るために仕方のないことなんだ。わかってくれないか」
「そんなぁ~……」

そんなわけで炭谷は、荷物をまとめて会社を後にした。
「とほほ……これから僕はどうすればいいんだよ……」
「お待ちなさい、山口君」
「珍々ねえさん……」
珍々院は炭谷を追いかけてきたのだった。
「あなた……このままチュパの道を諦めるんじゃないでしょうね」
「……こっから先のことなんてわかんないっすよ。こんな形で追い出されて……またチュパをやりたいと思えるかどうか」
「甘ったれたことを言うんじゃないわよ。これはあなた自身が招いたことよ。自分が何をしたか、不貞腐れないでしっかり考えなさい」
「な……なんでアンタみたいな二周回行き遅れクソババア(48)にそんなこと言われないといけないんですか!」
「そんな言いかたすることねーだろうが、このクソガキ!」
炭谷の腹に、珍々院の膝蹴りが撃ち込まれた。
「ドブフォッ」
「いい? 私は別に説教をしたいわけじゃないのよ。あなたにはチュパの才能があるわ。半端なところで辞めてほしくないのよ」
「けど……」
「どうするかはあなたの自由よ。ゆっくりかんがえなさい。答えを出すのなんて、いつでもいいのよ。今じゃなくても、来年でも、十年後でも。ただ……あなたには、他の人にはできないチュパができるわ」
「珍々ねえさん……ありがとうございます。チュッ」
炭谷は珍々院を抱き寄せて、髪を撫でながらキスをした。
「なっ……何しやがんだよ!」
珍々院は炭谷を突き放して、側頭部にハイキックを入れた。
「ぐああぁ……痛い……痛いよう……何するんですかねえさん」
「こっちの台詞だよ! てめーいきなり何すんだよ!」
「何って……そういう空気かなって思って……うぐ……頭が……」
「どういう空気の読み方だよ! そんなんだから炎上起こすんだよ! あほ!」
珍々院は怒ってそのまま背を向けて去っていった。
「ちくしょー……あれはどう考えても慰めエッチさせてくれる空気だったろうがよ……クソ……女め……!!!」
炭谷はコンクリートに爪をがりがりと突き立てた。
彼の女性への憎悪はさらに燃え上がり続けるのであった。

炭谷は帰宅して、ノートパソコンを開いた。
「なんだよもー……炎上しちゃってるって本当かよ……?」
そしてツイッターのログインする。
『みなさん、この炭谷一郎こと山口雄太に公式の場で顔出し謝罪させるまで、追及の手を止めてはなりません! こいつのことを知っている人はどんどん情報を下さい』
「上島のババア……こんなツイート流してやがる……好き放題やりやがってからに!」
そしてツイッター上では、炭谷に関する様々な情報が寄せられていた。
いわく……

『「○○ちゃん僕の奴隷になりなよ」って言って口説かれました。なぜそれでOKが出ると思ったのかが謎すぎます』
『挿入する前にイッてました。神の与えし天才早漏』
『即売会でナンパされました。「僕が君を売れっ子原画家にしてあげるよ」とかほざいていました』
『働いている風俗にご来店。プレイの脚本を持参して来ました。設定は女子中学生と家庭教師モノでした』
『付き合っていたんですけど、ある日「俺もう死ぬから!」というメールを送り付けられて音信不通になりました』
『一緒にシャワー浴びてる時におしっこかけられました』
『飲み会でチンチン出してました。真性包茎でした。臭過ぎて店から出禁食らいました』
『セックスパワーが高まると信じて乳首オナニーをしているらしいです』
『経験人数を偽っています。今さら「実は童貞」と言い出せずにいるらしいです』
『同人ゲーム界隈一のセックスマシーンを自称してドン引きされています』

「こっ、こいつら好き放題言いやがって……こんなの、半分しか本当じゃないぞ!」
『あんたたち! どうして俺のことなんかにこだわるんですか。もっと大事なことがいっぱいあるでしょうが。福島の復興だってまだだし、原発の問題だって解決してない! 幼稚園だって足りてないし、政府の右傾化にも監視の目を働かせないといけないでしょう。 まだまだまだまだ大事な問題が山積みでしょうが! 俺のことなんてどうだっていいでしょう!』
「ふぅ……こんだけ正論を叩きつけてやったら、みんな黙るだろう。はー、あっという間に鎮火のめどが立ってよかったよ。チンカしたことだし、チンコのお熱も下げよっかな♪(以下略)」

「ふー、すっきりした。さて、ツイッターの反応を見てみるかな」

『久しぶりのツイートがこれかよキモッ』
『それってセクハラ男が最もよく言い逃れに使う言い訳ですよ。死ね!』
『死刑に持ち込めないんですかね……生きてるだけで害悪すぎ』
『不謹慎です。取り消してください。魚拓はもう取りました』

「だー! なんなんだよもー……俺にどうしろていうんだよ! ふざけやがって!」
さらに……
『炭谷一郎関係者に独占インタビュー』
「ん……なんだこのリンクは……。嫌な予感しかしないけど見てみるか」

イ「今日は長年炭谷のサークルメンバーとして、長年奴を見てきた方にお話を伺います。なんとお呼びすればよいですか?」
み「そうですね、では、M.利一と呼んでいただければと。いや、それだとバレちゃうな……では、溝野.Rと呼んでください」
イ「わかりました。では早速、炭谷について教えてください」
み「はい。当時はサークル内に女性メンバーがいたのですが、ミーティングを終えるたびに『あの子、自分に惚れてるよ』と自虐風自慢気に語っていましたね。私が『そうかな』と言うと『いや、そうっしょ! お前の話には全然興味なさそうだったけど、自分の話はめちゃくちゃ聞き入ってたね!』と言っていました」
イ「信じられない……そんなことを言う人が本当にいるんですか?」
み「あと、僕がゲーム制作にあたり、サークル外の女性に協力してもらっていたんですね。その女性について話をしていたところ、『いやさぁ……自分、女の人に、見た目を気に入られちゃうことあるじゃん? ○○さんにも惚れられちゃったら……厄介だよねぇ』と、これまた自虐風自慢気に語っていましたね。自分はもう、『この人、俺に殺してほしくてこんなアホまる出しなこと言ってるんじゃないか』と思い悩むしかありませんでした」

「ふざけんじゃねーぞこの野郎! それ全部お前が言ってたことじゃねーかよ!(実話)だいたいサークルメンバー俺とお前だけだろうが! バレバレだよ!」
インタビューではこの後も延々、炭谷のミソジニー情報を暴露し続けていたのであった……。
「ぶっ殺してやる……こいつら全員、ぶっ殺してやる! けど今日はもう寝る」
炭谷は怒りに燃えながら床に就いた。

翌朝……。
『ぴんぽーん』
「うぅ……むにゃむにゃ……もう食べられないよう」
チャイムに気付かず爆睡し続ける炭谷。
『ぴんぽーんぴぴぴんぽぴぴんぽーん』
「なんだ……うるさいなぁ、まだ朝の八時だぞ。高橋名人でも来たのかな」
チャイムの16連打に、さすがの炭谷も目を覚ました。
『ガチャリンコ』
「どちら様ですかぁ? ……って、うわぁ!」
「あんた、山口雄太ね?」
「変態セクハラ野郎!」
「恥を知れ!」
「不細工!」
ドアの外には、大勢の人が大挙して押し寄せていた。
それも全員女性……みなその表情から怒っていることが見て取れた。
中には『女性を平等に扱わない社会に未来はない』などと書かれたプラカードを掲げている人もいる。
「朝っぱらからなんなんだよ、あんたたちは!」
「朝だからどうだっていうの? 朝だったら女性の権利をないがしろにしていいとでもいうのかしら」
「そうよ。我々女性は、二十四時間三百六十五日、いつだって闘ってみせるわ!」
「あんたが謝罪するまで、私たちはここをてこでも動かないから!」
「そんなこと言ったって、俺にだって生活があるんだよ! 帰れ帰れ!」
炭谷は玄関から出て、女性たちを追い払おうとした。
「ギャ~!」
女性たちが炭谷の股間を見て叫び声を上げた。
「あんた! 勃起してるじゃない!」
「そりゃ朝立ちぐらいするに決まってるだろうが! 朝の八時に勃起してない男探すほうが難しいわ!」
「ケダモノ~! あたしたちを見て欲情したのね! やっぱりこの男は去勢するしかないわ!」
「証拠を写真におさめるのよ! さぁ、みんな!」
その言葉を合図に、女たちはスマホを取り出して写真を取り始めた。
『パシャパシャパシャパシャ』
「うぐっ……」
次々にたかれるフラッシュに身もだえる炭谷。
「撮るな~! 何の権利があってお前ら人のこと撮影しとんのじゃ!」
「きゃー、今度は暴行よ! みんな、しっかりムービーに撮っておくのよ!」

「クソ、あいつら好き放題やりやがって……」
結局何をやっても不利な方向にしか働かないことに気付いた炭谷は、部屋に退却してきた。
「「女性の権利を認めろ~! セクハラ変態キモブサ童貞包茎早漏ミソジニストは、公式な場で謝罪せよ~! ついでに女性は週休三日制・給料据え置きにしろ~!」」
「あいつら家の前の通りで行進してやがる……! どうしたらいいんだ……」
『ピロリロリンコ♪』
「メールが着てる……きー坊からだ」
きー坊とは奇なりのことである。
『炭谷さん、いろいろ大変そうだけど大丈夫?』
炭谷はすぐに返信し、事情を説明した。
『うーん……相手の人たちもやりすぎ感はあるかもしれないけど、炭谷さんもちゃんと謝った方がいいんじゃないかな。このままじゃ収拾がつかなくなっちゃうよ』
「ふざけんな! 女! なんで俺が謝らなきゃいけねーんだよちくしょー!」
炭谷は携帯電話を壁に向かって投げつけた。
「くそ……誰も俺のことをかばってくれやしない……きー坊の野郎……信じていたのに!」
炭谷は怒りのあまり、オナニーをすることにした。
「こんな時でもチンコは勃つんだから困りものだよなぁ……このバカチンコめ! こればっかりはしょーがないってか? ムラッときたら止まらねぇ……病気だよ病気…………お前のせいでオレの人生は台無しだ。残る道はもう去勢しかないぞ……」
ぶつぶつと呟き、部屋を歩き回りながら炭谷はペニスをしごいた。
本ブログの読者の六割は女性であることが想定されるため、解説をしておくのが親切というものだろう……これは一般的に『歩きニー』と呼ばれる自慰の技法である。
歩行するために腹筋、大腿筋を使うことにより、ペニスへの快感が増幅されるのである。
これは広く知られている技であり、多くの男性が一度は経験しているのである。
わざわざ解説してやったこのジェントルメンに感謝してほしい……できればおっぱいを揉ませてください(アゲハ蝶ふうのどさくさにまぎれたおねだり)。
「あぁーやばい……そろそろイキそう……イッていい? イッてもいい!?」
ペニスの根元に鈍く痺れる感覚が湧きはじめてきた。
射精に向けてより強く手を握り、動かす速度も早めた。
『バラバラバラバラバラバラ』
「ん……なんの音だ……? っていうか部屋ちょっと揺れてる?」
部屋に差し込む日の光が、突然遮られた。
反射的に窓の外を見ると、黒い巨大な影がその一面を覆った。
「みなさん、ご覧ください! やっぱりこの男は大変態です! 朝っぱらからシコシコしておりますー!」
「ギャー!!!!」
炭谷の部屋の外でヘリコプターがホバリングしている。
その横腹の扉は開かれていて、テレビカメラを構えた女とマイクを手に持った女がこちらを見据えていた。
『シャッ』
ペニスもしまわぬままにカーテンを閉める炭谷。
「なんということでしょうか! あの男、カーテンを閉めました! 何かやましいことでもしているのでしょうかーっ! あけろー!」
「あの野郎ども、好き放題やりやがってからに……何の権利があって人のオナニーライフを妨害しやがるんだよ!」
握ったペニスはふにゃふにゃになっていた。
親が死んだ日の夜でもオナニーを我慢できなかった男も、さすがにこの非常事態では勃起を保つことは難しいようである。
『ペロペロチンコ♪』
あらたな通知音が鳴る。
「メールだ……差出人はけいまるさん。『炭谷さん、大変なことになっているようですね。僕で力になれるようでしたらなんでも言ってくださいね』か……。けいまるさん……なんて優しいんだ」
『今、ついに家の前にまで奴らが来ています……正直どうしたらいいのか、もうわかりません』
炭谷の返信に対して、またすぐにけいまるからレスポンスが返ってくる。
『そんなことになっていたとは……。今は自宅にいては危険なのでは? もしよければ、大阪の僕のうちに避難してきませんか? 緊急事態ですし、遠慮しないでください』
「けいまるどん……なんて優しいんだ! 冬コミの後、神田駅の改札の前で駅弁ファックし合った仲だし、ここは彼に頼らない手はないな。この家はもうババアどもに取り囲まれて死臭が漂っている……とっとと、逃げ出すに限るな!」
こうして炭谷は、神奈川を離脱し、西へ向かったのであった……。

炭谷は汽車に乗り込んだ。
小田原駅まで鈍行で向かい、そこから新幹線に乗り換える。
新幹線は小田原を出てから熱海駅で停まり、都内から運ばれてきた大勢の不倫カップルを吐き出した。
そして彼らはこの街で情欲を吐き出しつくして、二日後にはまた東京へ帰っていく。
彼らが残したたくさんのコンドームは回収され、そこから精子が抽出される。
それらは加工されて、かまぼことして土産屋の棚に並ぶ。
何も知らない不倫カップルの既婚男がかまぼこを買い、妻への土産にする。
世の中は上手く出来ている。反吐が出るくらいに。

熱海を出ると新幹線は静岡県に入る。
電車の旅で静岡県を通る人間はみな、こう思う……自分は永久にこの県から出られないのではないか?
ここまでの旅であっという間に一つの県を通過していく様に爽快に感じている者には、この県は横長すぎるし、停車駅が多すぎるのだ。
そもそも静岡という地は、神が日本を西と東に分かつために作った。
ここが茶葉だらけなのは、人間がその先に進もうとしても「ちょっとお茶で一息」というブレイクタイムを無数に設けるためであった。
しかし人間は貪欲にも、茶葉を取りつくし、道を作り、レールを通した。
新幹線は、そんな開拓者たちの骸の上を音速で走る。
人間の好奇心を止めることができるものなど、この世界には存在しないことの証明といえるだろう。

そして炭谷を乗せた、新幹線は、愛を知る者のいない名古屋県を通過し、大阪民国駅に到着した。
果たしてこの地では、どんな運命が炭谷を待ち受けているのだろうか……。

『プシュー』
括約筋の衰えた老人の屁のような音をともなってドアが開く。
ドアが開いた瞬間に、むせかえるような粉もんのにおいが入り込んできた。
「ここが大阪民国か!」
「でんがなまんがな」
「どないやっちゅうねん」
「すごい! 道行く人々がみんな関西弁で喋ってる! ネイティヴうーっ」

「炭谷さん。長旅ご苦労様です」
中性的な顔立ちでイイ声の青年が炭谷を呼ぶ。
「あっ、けいまるさん!」
彼はけいまる。けいまるである。
「いやー、ずっと座りっぱなしだったので、おしりが痛くなっちゃいましたよー」
「これから、もっとしりが痛くなることをするんだけどな」
けいまるがぼそっとつぶやく。
「えっ、何か言いましたか!?」
「いや、なにも。タクシーで移動しましょう。へい、タクシー! おなかすいた市まで行ってください」
「兄ちゃん、百万円やで」
「さすが大阪民国!」

タクシーの窓から見える風景は炭谷を魅了した。
なにせ大阪民国に来るのは初めてなのだから、目に映るもの全てが新鮮だ。
街を歩く人々の格好には、当然、その地域の文化があらわれている。
この国では、小学生・中学生の男子はみなスポーツ刈りに『グリコ』と書かれたランニングの着用が義務付けられている。
そして女子はいくよ・くるよどちらかの衣装・髪型を真似なければならない。
炭谷の目には異様な光景でも、ここ大阪民国ではこれが日常なのである。
そしてほぼ300メートルおきに、たこ焼き屋がある。
数年前に、大阪民国の景観や文化を守るために、ファストフードチェーン店を強制的に撤退させた。
そしてその跡地にたこ焼き屋がおさまったのである。
グローバリズムの大波にさらわれ、もはやかき消される寸前だったものを、大阪民国は今必死に取り戻そうとしている。
炭谷は心に平安が戻ってくるのを感じた。
関東……東京や神奈川では、すでに自分の顔が知れ渡っている可能性が高い。
しかしここでは、自分のことなど誰も知らないだろう。
大手を振って街を歩くことができる……それだけで十分だ。
こんな場所で新たな人生をスタートさせるのも、悪くないかもしれない……炭谷はそんな気持ちを抱いていた。

「どうぞ、炭谷さん。長旅でお腹が空いているでしょう」
けいまる炭谷を部屋に上げ、手作りたこやきを振る舞った。
「わぁー、ありがとうございます! いただきまーす! もぐもぐ……あれ……なんだか……眠くなってきたなぁ……」
「きっと疲れているんですよ炭谷さん……どうぞそのまま眠ってください。時間はたっぷりあるんですから……」
「ぐごー……ぐごごー……」
炭谷はその場で寝息を立てはじめた。
「……」
けいまるは炭谷を担ぎ上げ、ベッドルームまで運んでいった。

「うぅーん……ハッ! なんだこれは」
目を覚ました炭谷は、自分の状況に驚いた。
手も足も縛られ、X字型をした板に磔にされているのである。
「目が覚めましたか?」
「けいまるさん! 何なんですかこれは!」
「炭谷さん、たしか、アナルに入れた経験はないんですよね?」
「アナルは出口じゃないですか。座薬ですら入れた経験ないですよ!」
「慣れない人はじたばた動き回るかもしれないですからね。だから、ちょっと拘束するのがいいと思ったんです」
けいまるはキャスターの付いた台を転がしながら炭谷のもとへと進んだ。
「ギョッ……そ、それって何に使うんですか!?」
台の上には、炭谷がアダルト動画で毎日のように目にする大人の玩具が並んでいた。
「わかってるんでしょう? ここまで来ておいて、こういうことを考えもしなかったなんて言わせませんよ」
「た……たしかにけいまるさんはセックス方面でディープなことツイートしてるし、僕達ツイッター上でもいちゃいちゃしたりしていますけど、でもこんなことは……」
「理由なんてそれだけで十分じゃないですか。大丈夫ですよ、誰だって最初は戸惑うものです」
そう言いながら、台に置いていたローションのボトルを手に取り、もう片方の手に垂らした。
けいまるはしゃがみこみ、炭谷の尻を開いた。
「ちょ、ほんとに! やだ! やめてー!」
「すぐに、これがなくちゃだめな身体にしてあげますよ……」
「アアッーーーッッッ!!!!」
けいまるはローションを伸ばした手の人差し指を炭谷の肛門に刺しいれる。
「アアッ、アーッ、アーッ!!!」
炭谷は反射的に括約筋を締めるが、けいまるは指を引こうとしない。
「ははは、すごい締め付けですね……これは今から楽しみだ」
最初よりも肛門の抵抗が弱まってきたことを感じたけいまるは、手首を回転させた。
「おっ、おがっ……お腹ん中になんか入ってくるぅぐ……んっふぅ……!」
そしてそのまま、ゆっくりと指の出し入れを始める。
「ん……ウアッ……やだー! な、なんか、変な感じする!」
肛門の内部にうずきを感じてきた炭谷。
「ははは。炭谷さんどうしたんですか。チンコがビンビンになってるじゃないですか!」
「ちっ、ちがっ! 見ないでぇ~!」
「ほら、どうして欲しいんですか。はっきり言ってくださいよ」
「そ、そんな……」
「やめてもいいんですか?」
「おっ、おちんちんを気持ちよくしてほしいれしゅう~!」
けいまるは炭谷の肉棒に手を添えて、ゆっくりと上下にしごく。
「あっ、アアアーーーーッッ!!!!」
『ビュー! ビュビュビュッ、ビューッ!』
「どうしたんですか炭谷さん、こんなに早くイッちゃうなんて!」
「だ、だって……けいまるさんが……」
「炭谷さんが変態早漏童貞なのは僕のせいじゃないでしょう」
「ご、ごめんなさい……」
『ムククッ』
すぐに炭谷の12口径は復活し、起立した。
「ははは、とんでもない早撃ちですね。ビリー・ザ・キッドもびっくりだ」
「そんなことないもんっ!」
「どこに指入れられてるのか言ってごらん?」
「そんなの……恥ずかしい。やだ」
「じゃあ抜いていいの?」
「っ! お、おしりのあなです……」
「指入れられて、どんな感じなの?」
「きもちいいですうっ! おちんこ! おちんこも気持ちよくしてぇーっ!」

それから……

「あっ、アアーッ! 乳首ダケデエエェェェッ!」
『ビューッ! ビュビュッ!』

「女の子みたいに声でちゃうー! アンギャオゥゥゥゥッッ!」
『ビュッ! ビュビュッビュ! ビュービューンビュー!』

「アンッフゥ……さ、先っぽがああっ、おかしくなっちゃうよよおおお!」
『ビュルルッ! ビュルンベルグッ!』

「アーーーーーッ!! ワタッシーノッ、コーーーーーイワーーーーーーッ!」
『ビュービュービュビュー! ビュビュビュビュービュビュビュービュビューッ!』

「炭谷さん、どうです? この快楽無しで生きていくことなんてできますか?」
「で、できません……。けいまるひゃんに、してもらわないと、一郎は満足できましぇん!」
自分の身体の反応を、他者にコントロールされてしまうと、その相手をヒエラルキーの上位にいると認識してしまうのはよくあることだ。
ことセックスにおいては、自分が知らなかったことを教え込まれてしまうと、生物として相手が強者であるという思い込みをしてしまう人は多い。
まして炭谷にとってけいまるは、藁にもすがる思いで頼った相手なのだ。
極端な言いかたをすれば、洗脳されてしまうのも無理はないだろう。
だいたいけいまるのような美少年に性的に調教されたくないと思っていない人間などいないのである……。
こうして炭谷は、けいまるの虜になったのであった。

「つ、通天閣はあっちでんがな……」
本とにらめっこしながらぶつぶつとつぶやいている炭谷。
「なにを読んでるんですか?」
コーヒーを入れたマグカップを炭谷の前に置くけいまる。
「ん……ありがと、けいぴょん。へへ、じゃーん」
読んでいた本をけいまるの前に広げる炭谷。
『マスターズ関西弁―――これでおまはんも大阪民国人やがな』と書かれている。
「関西弁の勉強?」
「ふふっ、そう。わたしも関西弁を話せるようになれば、一緒にいてもけいぴょんが恥ずかしい想いしなくって済むでしょ?」
「へぇ。じゃあ今からゲーム形式で勉強しよう。問題に間違うごとに一郎からキス。一問合うごとに俺からキスな(妖笑)」
「どっちにしてもちゅーするんじゃーんw」
「なに? 嫌なの、一郎」
「ん……嫌じゃないよぉw」
「じゃあ第一問。『最近どないでっか?』と言われた時に返す挨拶は?」
「ぼ……ぼちぼちでんな?」
「正解だよ一郎。ちゅっ♡」
けいまるは炭谷の顎を少し上にあげ、そっと口づけをした。
「えっへぇw」
「じゃあ第二問。『少年探偵の推理に、関西弁探偵がツッコミを入れる時に最適な言葉は?』」
「えぇっ……そんなの難しすぎるよぉ。わたしわかんなーい」
「残念。正解は『せやかて工藤』。じゃあ罰として……」
「んんっ……もう。ちゅっ♡」
「「ちゅっちゅっちゅっ♡」」
某淫行で逮捕されたインターネットカラオケマンのラインのようなやりとりをするけいまると炭谷。

(わたし……今とっても幸せ。ずっとここで生きていきたいって、初めて思えた。ずっと……この人と一緒に……。最近のヘビロテは『大阪ラバー』。アンディモリ? ブルーハーブ? 小沢健二? そんなもの、どうでもいいじゃん……。くうちゃんのカバーしたラブリーの方が好きね。オッベイビー、ラブリーラブリーデイ。続いてくのさデイズ。いつか悲しみで胸が一杯でも 続いてくのさデイズ。わたし、これまでの苦しみが全部、今の幸せのために会ったんだなって思える。何か一つでも欠けていたら、この人に巡り合うことなんてできなかったから……けいぴょん……わたしのすべて)

「これが道頓堀だよ一郎」
「わぁー、ほんとによどんでる~♪ すごーい!」
「きみの瞳の方が綺麗さ……」
「ちょうウケるw」
大阪名所めぐりをしている炭谷とけいまる。
どこからどう見ても幸せそうなカップルである。
『カチッ』
『ヴゥーン』
「だっ、だめ……けい……こんなところで……!」
「どうしたんだい一郎。まわりにはこんなにたくさんの人がいるのに、そんな声出して」
『カチカチッ』
『ヴーーーーーン!!』
「アッヒャフゥンアアアッ!」
外を出歩く時は、炭谷のアナルに協力なバイブレーターが仕込まれているのであった。
しかしそんな二人の幸せは、いつまでも続かない。
「ねぇ……あれってもしかして、炭谷やおまへん? んなっ?」
少し離れたところでこそこそ話をする女が二人。
魔の手は大阪民国にまで迫ってきていたのである。
「せや! きっとせや! 大阪に隠れていたんやな! すぐに上島様に知らせたるねん! んなっ?」
女がスマホで炭谷を撮影した。
『カチャリンコ』
「……」
シャッター音を察知したけいまるが、女たちを目で捉えた。
そして歩み寄り、スマホを奪った。
「ちょっとニイチャン! なにするんねん! ウチら女性には、撮影をする権利があるわ! んなっ?」
けいまるは女たちを担ぎ上げ、川に投げ捨てた。
「キャーッ! んなっ?」
「悪いねお嬢さんたち……川底のカーネルサンダースさんによろしく」
不安そうな表情でコトを見守っていた炭谷のもとへ戻るけいまる。
「けいぴょん……」
「心配することないさ、一郎。お前のことは俺が守るよ」

そして次の日の朝……。
『チュンチュンピヨピヨ』
物語は、冒頭へ戻ってくる。
満たされていたはずの炭谷の日々は、崩壊していく。
西へ逃げれば、非難されることなく過ごせると考えた炭谷だが、ここももう安全ではない。
さらに西へ……九州へ逃げてもまた見つかるかもしれない。
沖縄だろうが四国だろうが、人の住むところであればもはやどこも安全ではないのだ。

「一郎! どうしたんだ!」
けいまるが目を覚まし、炭谷を抱きしめる。
「けいぴょん……わたし、どうしたらいいのかわからないよ……」
けいまるの腕の中は暖かい。
自分の心が求めていたのはこれだとはっきり言い切れる。
しかし、炭谷は知っている。
女たちの執拗なまでの嫌がらせを。
このままではけいまるまで巻き込んでしまうかもしれない。
(わたし……どうしたらいいの……?)
『高須! クリニック!』
テレビから印象的なフレーズが聴こえてきた。
「そうだ! 整形すればいいんだ!」
「え?」
「整形すれば、わたしが炭谷だってバレない!」
「たしかに!」
「整形してくるね!」
「じゃあ、よかったらこういう顔にしてくれないかな?」
けいまるが炭谷に差し出したのは、古ぼけたカラー写真だった
写真には二人の少年が映っていた。
年の頃は10歳前後といったところだろうか。
「これの、右側の男の子みたいな感じに」
「隣に写っているのって、けいぴょん?」
「そうだよ」
「かわいい~!」
……じゃあこれって誰なの? と聞くことはできなかった。
(わたし……そこだけは臆病なのよね……)

「たっか! たぁっか!!!! 整形ってこんなに高いの!? どこのどいつがこんな大枚はたいて顔にメスいれてるの!? 世の中リッチマンだらけなの!? いや、むしろエッチマ○コ!」
整形のクリニックの入り口の料金表を見て、とぼとぼと退却した炭谷。
「うーんどうしよう……今にも女たちに襲われそうだというのに……早くなんとかしないと。……それにしても、この男の子、いったい誰なの。けいまるの……なんなの?」
歩きながら、けいまるから渡された写真に目を落とす炭谷。
『ドンッ』
「わっ!」
「ぎゃひん!」
案の定、歩いてきた人とぶつかってしまった。
「いたたたた……あれ? 写真がない!」
『ヒュルリラー』
ぶつかった表紙に炭谷の手を離れた写真は、風に舞って飛んで行ってしまった。
「わーっ! なんてことだー!」
急いで追いかけようとする炭谷。
「待たんかいあんちゃん! どこ見て歩いてんねん!」
炭谷はそでを掴まれてしまった。
「あっ、ごめんなさい! ああーっ!」
写真は風に乗って遠くまで行ってしまった。
「なんということだ……けいまるさんにしかられる。これじゃどういう顔に整形したらいいかわからないよ」
「なんやて? あんちゃん整形したいんかいな。わしは整形手術のプロやで」
「え! 本当ですか!?」
よく見てみると、その相手は白衣を着た小柄な老人だった。
「ほんまやほんまや。浪速のモーツァルト言うたらわしのことやからな」
「え? モーツァルトって、作曲家じゃないですか?」
「あほか! ボケとんのやがな! とっとと突っ込まないかんでキミ」
「は……はぁ」
「まぁええわ、とにかくウチの病院に連れてってやるさかい、そこで話聞こか」
炭谷は半ば引きずられるようにして、男の病院に導かれた。

「そんなことがあったんかいな。ほいだらわしが格安で整形引き受けたるわ!」
「えーっ! いいんですか」
炭谷は、女たちに追われていることを男に説明した。
「わしも若い頃、カミさんと娘に追われてたいへんだったんや……だからあんちゃんの気持ち、ようわかるさかい」
「なにやったんだよ……」
そういうわけで炭谷は、男の手に寄って新たな顔を手に入れることになった。

「じゃあ、顔から包帯取るで。一瞬自分には見えないかもしれへんが、それが新しいあんちゃんの顔やがな」
「は、はい……」
持たされた手鏡の柄をぎゅっと握りしめる。
「ほら……これがニューあんちゃんや!」
「え……え? これ? え?」
自分の顔に鏡を向けた炭谷。
美少女が映っているようにしか見えない。
清楚なお嬢様風といったところであろうか。
「がはははは! 女にばれたくないんやったら、まず女になることやな。そしたらふつうは疑われへんやろ!」
「なにさらしてくれてんじゃ! このヤブ!」
「ぎゅん!」
炭谷は男の頭に手鏡を叩きつけた。
「てんめー、早く戻せ! 俺を男に戻せー!」
炭谷は男の襟首をつかみ上げて、前後に強く揺さぶる。
「あんちゃん、落ち着きや! 騙されたと思っていっぺん、その顔で過ごしてみぃや」
「女の顔にされて落ち着いてられる男がどこにいるんだよ!」
「女の顔だとなんで落ち着かんねん」
「なんでって、そんなの……」
「女みたいな顔した男もおるし、男みたいな顔した女もおるやろ」
「そーいう問題じゃなくって、俺は男なんだから、こんな顔は慣れないんだよ」
「どんな顔だったら男なん? 男の顔だったら満足できてたと思うんか?」
「……それは……」
「それにほら、おっぱいだってDカップやねんで?」
「でぃ、ディーカップ!?」
顔を下に向けると、たしかに胸のところが膨らんでいる。
「Dなら……しょうがないか……」
両手で胸を持ち、ふるふると揺さぶってみる炭谷。
『ぽよんぽよんぽよん』
これがDの世界……。
「あんちゃんもわかる奴やな。やっぱりDやろ」
『もみっ』
男が炭谷の乳を掴んだ。
「セクハラセクハラ!」
男の腕をひねり上げる炭谷。
「ぎゃーっ!」

「うあっ……あれは、昨日のブス女たち……!」
病院からけいまる宅へ帰る途中、昨日けいまるが道頓堀に捨てた女たちがいるのを見かけた。
昨日のことを相当根に持っているようで、その顔は鬼のような形相であった。
「どうしよう……この距離だったら、引き返そうとする方が不自然だ……。いや、今僕は美少女なんだ……バレるはずがない……」
炭谷は決心して、できるだけ自然な動きで前へと歩くことにした。
「炭谷……そして昨日のあの男……なにがなんでも見つけ出してやるわ……!!!」
「んなっ?」
女たちは炭谷に気付くことなく、通り過ぎていった。
「やったー! ギタイ成功だ! 僕はもう炭谷一郎じゃない! 完全な美少女なんだ! さーて、清楚な美少女になってしまったことだし、なんか楽しいことしたいな! 美人って人生イージーモードだもんなー!」
本来の目的からはもはや完全に外れていた。

「アニメイトにやってきたぞ! 僕がオタクだった頃は、こういう清楚な美少女とエッチしたかったもんな! だから見せびらかしにきてやったぜ。ああーっ、オタクたちのいやらしい視線にあてられて、今にも火傷してしまいそうだぜwww よし、このままアニメイトの全フロアを行脚してやろう」
女性向け作品を扱うフロアに到着した炭谷。
「なんで腐女子さんが好きな作品って、キャラクターにやたら悲劇的な過去があるんだろうなぁ。オタクの人たちの趣味趣向ってわかんないよー。それにしても、女の人たちもこっちをじろじろ見てくるなぁ……」
中には露骨に睨みつけてくる女性もいる。
「なんか……やな気持ちだ。家に帰ろう」
炭谷はアニメイトを後にした。

「……なんか、ずっと後ついてくる人がいるぞ……」
アニメイトを出てから、ずっと背後に人の気配を感じていた。
振り返る勇気もないまま、駅まで来てしまった。
「ちょっと、なんなんですかさっきっから! ついてきてますよね!」
思い切って振り向いて、大声を出す炭谷。
「ウピッ!」
頭にバンダナを巻き、便底眼鏡をかけていた男が驚きの声を上げた。
「あんたか! さっきからなんなんですか!」
「か……かわいいやんか自分。自分も、俺のことめっちゃみとったやろ?」
「見てねーよ! 見てたとしても臭さか、不潔さだよ!」
「何言うてんねん! 俺ら運命の出会い果たしたってことやんか!」
「ねーよばか! 鏡見ろよ! せめて不潔にするのはやめろよ!」

『ガタンゴトン ガタンゴトン』
電車に揺られ、愛する人のもとへと帰ってゆく炭谷。
「こんなにかわいんだし、けいぴょん喜んでくれるよね……? ん? あれっ」
『パシャリンコ』
炭谷の足元で、なにかが白い光を放った。
「なんだ?」
「ウピッ!」
下を向くと、さっき振ったばかりのキモオタが床に這いつくばって炭谷のスカートの中を撮っていた。
「ゲーッ! 盗撮じゃん! 誰か~! 男の人来て~! 男の人来て~!」

「ってことがあったんだよ。キモオタってほんとにばかだよね。……聞いてる、けいぴょん?」
「ん……あぁ、まぁ聞いてるよ」
「写真なくしちゃったこと……まだ怒ってるの?」
「べつに……」
けいまるは寝返りを打ち、壁の方を向いてしまった。
(けいくん……なんだか今日は冷たいな……。清楚な感じはあんまり好きじゃなかったのかな?)

「先生! ちょっと整形したいんですけど!」
「はやいな!? まだ一日やで」
「けどもう飽きたんです! 女の人からはやっかまれるし、キモオタに付きまとわれるし、いいことないなあって思ったんで」
「しゃあないなあ……次はどんな感じにしたいんや?」
「ちょっと次は、ロッキングオン大好き~! みたいな感じにしてください!」

「よっしゃ~! ロッキングオン大好き! みたいな感じにしてもらったから、小さ目のライブハウスに遊びに来たぞ!」
「よー姉ちゃん。自分、どっかのバンドのツレかなんかか?」
「おっ、さっそくガリガリな体型で髪の毛長いバンドマン風の男から声掛けられた。一人で来ているんですよー」
「おー、そうなんか。今日のバンド、どれもメジャーデビュー目前のとこまでグイグイきてるからな。めっちゃ楽しめると思うで。LINE教えてくれへん?」

「うーん、さっきの男うざかったなぁ……『ポケベルしか持ってないんで』って言ったら諦めたけど……」
『次は、ナニワニアンズの出番です』
「きゃー! ナニワニアンズ~! 抱いて~!」
「うわっ、インディーズバンドのイベントなのになんか熱気すごい……」
「俺らがナニワニアンズやんか~! お前ら今日は盛り上がっていく準備はできてんか~?」
「いえー!」
「うわ! あのボーカル、さっきの男じゃん!」
「この曲は、今日ここにきている特別な女性に捧げるやんか。聞いてください。『でらべっぴん』」

この俺のたこ焼きのように熱いソウルをしばいてくれへんか♪
ワイとキミ、いつまでもフォーエバーラブ♪
キミだけがいればワイめっちゃ満たされる♪
この奇跡握りしめて いつまでも守ったる♪

「きゃー! ナニワニアンズ! 素敵ー!」
「どういう歌やねん……」
炭谷はげんなりした。

「よー。自分、さっきの歌……俺が誰に捧げてるかわかった?」
ライブを終えた男が首にタオルを巻いて、炭谷のもとへとやって来た。
「さぁ……」
「自分のために歌ったんやで……」
「あっそう……」
「うせやろ? 『おまえのために歌った』とか言うたら、ふつう落ちるやで」
「この小さな世界の中でたまたま何度か起こったことを、普通って言葉で表すなよ……」

「ってことがあったんだよ。バンドマンってほんとにばかだよね。……聞いてる、けいぴょん?」
「ん……あぁ、まぁ聞いてるよ」
けいまるは寝返りを打ち、壁の方を向いてしまった。
(けいくん……なんだか今日は冷たいな……。ロキノンな感じはあんまり好きじゃなかったのかな?)

「いくらなんでも、早すぎひんか?」
「けど飽きちゃったもんはしょうがないでしょ! 今度は心機一転! ギャルで行こうと思います」
「はいよ……」

「YO 君 俺のハートに YO チェケ メーン」
心斎橋に繰り出した炭谷は、突然、肌を黒く焼いた男に道を遮られた。
「なんか今度はエグザイルっぽい男だな……」
「俺エグザイルトライブのメンバーメーン。5代目スーパーマリオブラザーズのダンサーだぜ」
「本物かよ!? ていうかグループもメンバーも多すぎて全然わかんないよ!」
「ドチパパパッパパドチパパパ♪ ドチパパパッパパドチパパパ♪」
脇からヒューマンビートボクサーも現れた。
「囲まれた!?」

「はぁ……疲れた。総勢15人で繰り出されるチューチュートレイントルネードから抜け出すのは至難の業だったぜ」
色黒マッチョ軍団から逃げおおせてきた炭谷は、ぐったりした様子でベンチに座り込む。
「なんか……美人ってのも、疲れるな。男からは良い寄られるし、女からは嫉妬されるし……。しかもけいぴょんはエッチしてくれないし……どうしたらいいんだよ……」
「よぉ、ねえちゃんいくら?」
おっさんが炭谷の隣に腰掛けるなりそう言ってきた。
「いくら……? どっちかっていうとかっぱの方が好きですけど」
「そんなこと言うてんちゃうねん! いくらですけべさせてくれんねやっちゅうことやん」
「すけべ!? しませんよ!?」
「何言うてんねん自分! そんなエッロイ格好しといて、こんなとこに一人で座っといて、その気がないなんて頭おかしいやろ! 怒るでしかし!」
おっさんはずれた眼鏡を直しながら立ち去っていった。

その夜、炭谷はまた夢を見た。
「なんなのよ! あんたみたなのがなんで生きてんのよ!」
「うぅ……」
女たちから追い立てられる炭谷。
「なんかオマエ、まじで空気読まな過ぎなんだよな。使えないし」
もう片方には、能無し扱いをする男たち。
「ごめんなさい……」
「きゃー」
「うわー」
そんな連中を、真っ黒で大きな影が吹き飛ばしていった。
「……?」
まるで人間に墨を垂らしたような形をした影だった。
「……父さん?」
影が笑ったように見えた。
「父さんなんだね!? わーい!」
炭谷は影に抱き付いた。
「やっぱり父さんは僕を守ってくれるんだ! 嬉しい……ありがとう父さん! 大好きな父さん! 父さん……」

「父さん……父さん……」
「一郎……苦しいんだけど」
けいまるは炭谷を揺さぶり起こす。
「んあ……?」
「その年になって、父親に抱き付く夢なんか見てるの?」
「……」

「今度は写真を持ってきたんか? ……これ、誰なんや?」
「僕の姉さんです」
「……そうか。じゃあ、そこに寝ぇや」

「前見て歩けや、ブス」
歩いていて、肩がぶつかってしまった時、相手の男からこう言われた。
姉はブスだった。
なぜ父さんと母さんは、美文なんて名前を付けたんだろう。
美なんて字を付けたら、姉さんがかわいそうじゃないか。
きっとこの名前がプレッシャーになって、姉はどんどん性格がきつくなっていったのではないかと思う。
けど姉さんは幸運だ。
父さんが愛してくれた。
きっと一生、他の男からの愛なんていらないってくらい、父さんは愛し続けただろう。
姉さんの顔になっても、僕には、父さんの愛はない。
姉さんもつらかった。
だから僕にいつもあんな当たり方をしたのかもしれない。
……じゃあ、僕はなにに当たればよかったんだ?

「……」
けいくんは何も話を聞いてくれないまま眠ってしまった。
こんなブスとするのなんて、嫌だよね……。

「最初から先生に聞けばよかったんだ。先生……僕はどんな顔だったら幸せになれますか?」
「あんちゃん、幸せになりたいんか?」
「そりゃあそうですよ。じゃないなら、なんで整形なんてするんですか」
「整形で幸せになれる人なんて多くはないんや。知っとるか? 整形手術をした人の過半数は、数年後には『整形したことを後悔してる』って答えてるんや」
「え……どうして?」
「考えてみぃ。顔が変わるんやで。毎日見るもんや。服とか靴買うこととか、髪型を変えるのとはワケが違うんや。新しい顔とは一生付き合わないかんねん。だいたい、自分の顔に100%満足してる人間なんてほとんどおれへん。整形して気に入っても、次は目を大きくしたい、目を大きくしたけど鼻と合ってない気がする、今度は唇も……ってな具合に、いつまでも止まらんのや」
「……」
「それに『バレたらどうしよう』って罪悪感も一生付きまとう。逃げ切ったと思っても、今度は『生まれてくる子どもが整形する前の自分に似てたらどうしよう』。こんなふうにおびえながら暮らさないかんのや」
「けど……」
「自分の容姿とか体質……生まれ持ったもんのせいで苦しんでる人はぎょうさんおるよ。けど、それでもワイは、医学の力に頼って変わるのが一番ええとは思えんねん。かえって苦しみが増すだけなんてこと、ようあるしやな。ニイチャン、自分が整形しようと思ったきっかけ思い出してみ」
「自分の顔がバレたら困るから……」
「なんで困るんや?」
「女たちに追われているからです」
「なんで追われているんや?」
「それは……女たちが、僕のことが嫌いみたいで」
「そのことは、整形やないと解決できんかったんかいな」
「……」
「安易に、楽な道を選ぼうとすんなや。まだもっとできることあったんちゃうか?」
「……」
「ニイチャン、なんで炭谷一郎なんて名前使ってるん?」
「なんでって……」
「山口雄太。親からもらった名前があるのに、どうしてわざわざ別の名前を作る必要があるんかって」
「みんなが……ゲームを作ってる皆がそうしてるから」
「みんながそうしてるからか……ニイチャン、その人たちの中に溶け込みたかったんやな」
「……」
「名前も顔も同じよ。変身願望。自分とは違う自分になりたい。けどその前に、向き合わないこともあるんちゃうか」
「……」
「決めるのはニイチャンや。どうしたいねん」
「僕は……もとの顔に戻してください。不細工でも、僕はこの顔でやり残したことがたくさんあるんや!」

「ん……あっ、父さん」
気が付くと炭谷は、自分が生まれた家にいた。
リビングに影と二人、ダイニングテーブルを挟んで向かい合っている。
影は何も言わず、ただそこにじっとしている。
「……僕、言わなきゃいけないことがあるんだ。……父さんは、もういないんだよね」
影は身じろぎ一つしない。
「僕……ずるいよね。自分のことが好きになれないからって、他の人の嫌な所を探して攻撃して、自分はまだましなんだって言い聞かせてる。人の傷を見て楽しんでる」
「父さんみたいに強くなれなかった。姉さんみたいに賢くなることもできなかった。つらくって……いつからか、人のことを馬鹿にすることだけを考えるようになってたんだ。女の人も、オタクも、バンドマンも、ヤンキーも、オッサンも、みんな馬鹿ばっかりで自分はまだましだって……汚い慰めかたをしてた」
「僕は自分が不細工だから、不細工な人のことが嫌いだったんだ」
「けど、僕は父さんのことが本当に好きだったから……だから苦しかったんだ。もういないってこと、受け入れられなかった。今までずっと」
「でももう……」
炭谷の父と姉は近親相姦行為に及んでいた。
それを知った母親は、父と姉を刺殺した。
母親は気が狂っており、罪に問われなかった。
正気を取り戻すことができず、精神病院に幽閉されて10年が経とうとしていた。
以来、炭谷は一度も家族と会っていない。
「父さん……さようなら」
炭谷の頬に一筋の涙が流れ落ちた。
影は少しずつ色が薄くなり、完全にその姿を消した。

「あんちゃん、起きや。手術終わったで」
「ん……?」
炭谷は麻酔の効果で眠っていたのだった。
「包帯外すで」
「あれ……これが、僕?」
「そうやがな。100%完璧に復元したで」
「僕、こんな顔だったっけ……?」
不細工な顔には違いないのだが、以前と同じ顔のようには感じられない。
「いろいろ経験したやんか。そら違って見えるかもしれへんな。結局、自分が自分のことをどう思うかなんやじゃ、自分の顔に戻ったことやしあとはどうするか自分で決めれるやろ?」
「おっさん……ありがとう。僕、行かなきゃ!」
炭谷はそのまま走り去っていった。
「ん……なんだか亀頭がすーすーするうえ、男としての自信がみなぎってくるようだ」
「包茎手術もしといてやったんやで」
「わーお!」

「けいぴょん、ただいま」
「! 一郎。その姿に戻ったのか。おぉ……よかった……よかったよ本当」
けいまるは炭谷をきつく抱きしめる。
「苦しいよけいぴょん」
「今だけはそんなこと言わないでくれよ」
けいまるは炭谷の耳を甘噛みする。
「あ、んっ……。今はやだ。大事な話があるの」
「コレより大事な話があるっていうのか?」
同時に炭谷の乳首をいじりはじめるけいまる。
「んのっほぉん……!」
「もう我慢できねーんだよ! 何日も溜まってるんだからな!」
「アアーーーッッ!!!」
けいまるは問答無用で、すみたにの肛門に侵入したのだった……。

「けいぴょん……聞いてほしいの。私、神奈川に戻ろうと思うの」
抜かずに三連発を終えて寝そべっているけいまるに、炭谷は言う。
「なんだって? いったいどうして……」
「僕は……自分から逃げられない。自分の思ったこと、したことを無かったことにしようなんて無理なんだ。だから、ちゃんと女どもと話し合いに行ってくるよ」
「なにをばかなこと言ってるんだよ。あいつらどうもうだよ。獣だよ。一郎だって知ってるだろ? これだけ炎上しておいて、ただで済ませてもらえるなんて思うのかい?」
「そんな甘いこと考えていってるんじゃないの。自分が犯してしまった過ちなんだ。報いがあるなら、それは僕が受けなければいけないことだよ」
「……認められない。お前はなにもわかってない」
けいまるは炭谷の腕をつかみ、壁に押しつける。
「けいぴょん……やめてよ! あなたにはわたしのこと、ちゃんとわかってほしいの! だからこうして話してる……んうっ」
けいまるは炭谷に強引にキスをした。
「おしゃべりな唇はこうして塞がなきゃね……」
つづけざまに、炭谷の唇に吸い付くけいまる。
「ん……やめてったら! けいぴょんのキッスはとろけるようだけど、けど、やらなきゃいけないことがあるの!」
『ドンッ』
炭谷はけいまるを突き飛ばした。
「っ……!」
けいまるは俯いたまま、黙り込んだ。
「けいぴょん……わかってよ。わたしはわたしであることをやめられないの。他の誰にもなれやしないの。アイフィーリングスーパーソニック、ギブミージン&トニックなの。逃げたい切れたい時もあるの!」
「いいだろ……。わかった。一郎の言いたいことはわかったよ。じゃ、こういうことじゃどうだい? 一郎、僕のことをイカせてみろよ。そしたら行かせてやる」
「なによ……そんなこと簡単じゃない。ちょっと遅漏気味なとこあるけど、、そんな条件なら……」
「ただし! ケツの穴を使っちゃいけないんだぜ。そのうえ、一郎は目隠しをしていなきゃいけないし、5分以内に射精させるんだ。いいな?」
「えーっ!? そんなの無理よ!」
「俺のことを愛しているなら、それぐらいのこと出来て当然じゃないか?」
「……その言葉を使うの、すごく卑怯よ。けいぴょん」
「俺は、俺の愛する人を守る為なら、いくらでも卑怯になってみせるさ」
しばし、言葉もなく見つめあう二人。
「……いいわよ。受ける。いや、攻める。5分でイカセてみせるわ」
「そうくると思ったよ。カモーン! 関西同人ゲーム制作者組合のみんな!」
『ピューイ♪』
けいまるが指笛を吹くと、どこからともなく男たちが現れた。
出演許可をとる過程が非常に厄介なので、男たちの特徴は記さない。
そして男たちは、ズボンを脱いでペニスをむき出しにした。
「ちょ、ちょっと! こんなの聴いてないわよ!」
「おいおい……俺のことを愛しているなら、俺のペニスを見つけ出すなんて朝飯前だろ?」
「あーもういい! やるわよ! やりゃいいんでしょ!」
炭谷は目隠しを巻いた。
「レディー……ゴー!」

「く……どれ!? どれがけいぴょんのペニスなの!?」
炭谷は手探りでけいまるのチンコを触る。
「けいぴょんはチン毛シャンプーは、たしかラックススーパーエッチを使ってたはず……嗅覚よ! 嗅覚に頼るのよ!」
『クンクン』
「……うおげええええっっつつtっつ!!!! クゥッサ! クゥゥッッッサアァァ!!!」
『びしゃびしゃびしゃびしゃ』
炭谷はあまりの臭さに、その場で吐いた。
それもそのはずである……大阪民国人の九割はペニスを一切洗わないのだから……。
「あ、もんじゃや! もんじゃやぁー!」
何人かの粉もんフェチが、炭谷のゲロをもんじゃの素と間違えて飛びついて行った。
「ラッキー! これで少し人数が減った。けど、まだ見つけられない……。考えろ……考えるのよ一郎……」
『ケツの穴は使っちゃいけないぜ』
「そうよ……その条件をわざわざ出してくるってことは、ケツ穴大好きだって言っているようなもんじゃない。もんじゃだけに、もんじゃない。それなら……こうするまでよ!」
『ガバッ』
炭谷はズボンを脱いで、シリ穴を外気にさらした。
「オイーッス! バッチコーイ!」
『ベチッ』
皮膚と皮膚がぶつかるような音が部屋に響いた。
「ククク……聞いてる聞いてる。あっちのほうね」
炭谷は音のした方に尻を向けた。
「バッチコーイ! カミング! アイムカミング!」
『ベチベチンッ』
「そこだぁー!」
音の出所を突き止めた炭谷は、一気にとびかかった。
「ぐっ! な……なんでわかったんだ」
「ふふふ、やっぱりけいぴょんね。あたしの尻穴を見たけいぴょんは、めちゃくちゃ勃起するはず……そうすれば勢いの付いたチンコがお腹にぶつかって音を立てると思ったのよ」
「けどまだ終わりじゃない。あと1分しかないぜ? 射精させることができなければ、お前はずっとここで俺と暮らすんだ」
「けいぴょんのちんこ……固さ、太さ、長さ、反りの角度、カリの円周……すべてを考慮して計算してあげたわ。けいぴょんが一番ハマるのは……これね!」
『ズゴゴゴゴゴッブボッボッボボッボボッボボッボヂュルヂュルヂュル!!!!』
「ん、んおがあああなんじゃこりゃあああああああああいくううううう!!!!!!」
『ビュクビュク~!!!!』
「も……もはっはいほいほほほみほほむほむ」
けいまるのザーメンを口に受け止めながら、もごもごと発生する炭谷。
(チュパ音を出すために日々研究・鍛錬を続けてきた甲斐があるわね)
と言っているのであった。
「ゴクン。けい。約束通り、わたし、行くわよ」
「……最後に聞かせてくれ。お前、フェラは嫌なんじゃなかったのか?」
「愛してるもん。好きな人が喜んでくれるなら、なんだってするよ」
「……一郎。お前を、放したくない。俺も一緒に行かせてくれ」
「けいが一緒に来てくれるなんて、夢みたい」
「一郎……」
『ムチュッ レロレロ』
「お……おぉ! 口内発射したあとにもかかわらず、ディープキスを……」
「けいまるさんが……けいまるさんが本物の愛を見つけなさったぞ!」
「ばんざ~い!」
「今日は宴だぁ~!」
その晩は、阪神タイガース優勝並みに盛り上がったという

「だーれーか! にとってとーくべーつだったーけーいーまーるをー」
「マーク外す飛び込みで一郎がサッと奪い去る~!」
オールスターズが祝福の歌をうたいあげる。

次の日。
炭谷は、謝罪させてほしいという意向を上島にメールで知らせた。
『それなら今日の夜に、池袋にある大日本帝国乙女武道会館で、謝罪の生中継をしましょう。もちろん、謝罪の意思があるなら承諾してもらえるものと信じていますよ!』
「この女野郎……いくらなんでもそんなことする必要ないだろう。一郎、断るんだろ?」
「けい……いいの。わたし、行くよ」
「本気なんだな……一郎」
「身も心も綺麗になって、一人の男としてちゃんとけいと付き合いたいんだもん」
「一郎……」
「けい……」
「ちゅっ」

『きー坊様へ。メールを返せなかった無礼をお許しください。僕は今日、フェミニストの会に謝りに行くことにしました。きっかけはキー坊の言葉だったのだと思います』
炭谷は奇なりに携帯でメールを送った。
『そうなんだ。がんばったんだね。炭谷さん確かに顔は不細工だし、人を不快にさせる発言しかしないし、喋ってるといやらしい目でしか見てこないから本当に気持ち悪いけど、本気で謝れば相手もきっと許してくれるよ。乙女武道会館、私も行くね。応援している』
「きー坊……」
炭谷は携帯を握りしめて涙ぐんだ。
素直に心を開けば、相手だってちゃんと理解してくれて味方になってくっるのだ。
どうしてこのことに、もっと早く気付けなかったのだろうか……。

『プアァーン』
そして二人は、大阪民国発の新幹線「さんま」に乗り込んだ。
二人は隣合せて座り、よりそい手を繋いでいた。
「今夜は駅弁プレイだね」
「やだ、けいってば♡ みんなが見てるよう」
「……? みんなが、見てるね、たしかに……」
けいまるは炭谷の手を強く握りしめた。
うかつだった。
なぜ席に着く前に気が付かなかったのだろうか。
「一郎……まずいことになったかもしれないぞ」
「えっ? なんのこと? あたしわかんな~い♡」
「この車両の乗客……全員、女だ」
「飛んで子宮に入る夏の精子とはこのことね」
一人の乗客が立ち上がった。
「お前は……あの時の……!」
けいまるが投げ飛ばした女であった。
「あんたねぇ。謝っただけで許されると思ってるの? そもそも男共全員、死刑じゃ足りないくらいの存在なのよ。それをあんた、なにを今さら謝罪しに行こうとしてるのよ。許されないのよ! あんたたち男は!」
「狂っている……」
炭谷はけいまるの陰に隠れた。
「みんな、やるのよ!」
女の掛け声を合図に、乗客が一斉に立ち上がる。
全員、女側の人間ということだ。
「この男たちの体液を体になすりつけるの! そうしたらこいつらは、あたしたち全員のたおやかな百合のようなバディを弄んだ、集団強姦魔として世間から晒し上げを食らうわ!」
「集団強姦の意味、ちょっと違うくない!?」
「さぁ……観念しなさい。変態男野郎ども!!!!!」
「けい……どうしよう……!」
「一郎。今から俺の言うことをよく聞くんだ。チャンスは一度しかない。俺の言うことを守れば、お前は絶対助かるんだ。俺の言うとおりに行動すると約束してくれ」
「けい……やっぱり頼りになる男ね。ちゅっ」

「俺が女たちをひきつけておく。お前はそのスキに逃げろ。そして一人で池袋へ向かうんだ」
「……けい? なにを言っているの? 私たちずっと一緒なんじゃないの?」
「一緒さ。俺はお前の心の中に、お前は俺の心の中で生き続ける。二人で過ごした日の思い出はなくならないさ」
「そんなのだめだよ! 一緒にいなきゃ意味なんてない!」
「一郎……お前は俺を変えてくれたんだ。過去を悔やんでばかりいた俺を、今によみがえらせてくれたんだよ。それだけで十分だ。俺は他の人が一生で得られる何倍も幸せだった。だからお前には生き続けてほしい……」
「けいっ……!」
「最後にもう一度だけ……ちゅっ」
「ん……」
このキスが永遠に続けばいい……二人の身体中に微弱な電流が走るようだった。
「一郎……。天国に何か一つだけ持っていけるとしたら、この甘い口づけを」
「けい……」
「いいな。振り返るな。一気に行け」
炭谷は何も言わずに頷いた。
炭谷を後ろ手で庇いながら、一歩前に進むけいまる。
「わたしたちに指一本でも触れてみなさい。あんたは強姦罪で豚箱行きよ!」
「愛する男を守れないような男は、豚以下だ。そうは思わないか?」
けいまるは目にも留まらぬ早業で、女の膣に指を差し入れた。
「きゃーーーっ! みんな! 証拠を撮って! アーッ!!!!!」
『ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅっ!!!』
「浪速の加藤鷹とは……ワイのことや!!!!」
『ビッシャーーーー!!!!』
『ビターン!』
女は膣から噴き出した潮のジェットで、天井まで跳び上がった。
「さて……次のヒーローは誰かな? どこからでもかかってくるがいい」
「うぐぐ……」
女たちは一歩後ずさる。
新幹線の通路は、二人通れるほど広くはない。
けいまるは、床に倒れた女を抱き上げる。
そして小脇に抱えて、またその膣に指を入れてGスポを刺激し始めた。
「あばばばっばばば……またヤバイイイイィィィ!!」
「いくぞ一郎……この女の腹の上に乗るんだ!」
「……けい! 愛してる! 愛してる……!」
けいまるは炭谷のポケットに、そっと何かを入れた。
『ブッジョワーーー!!!』
「いっけぇー!」
女の身体は潮ジェットで新幹線を突き破り、外まで飛んでいった。
けいまるは、炭谷を逃がすことに成功したのだった。
「あんた……ウチにはわかってるで。そんなGスポ刺激を続けていて、あんたの指はもうガタガタやろ? そんなんで、この人数を相手にして勝てると思ってるんか?」
けいまるは震える右手を、左手でぐっとおさえつけた。
「……勝ったさ。お前らみたいなドライマ○コどもが何回生まれ変わっても味わえないような時間を過ごすことができた。俺は幸せだった。これのどこが負けなんだ?」
「屁理屈ばっかりこねとるな……みんな、もう容赦せんで一気にいくで! んなっ?」
「一郎……俺たちの魂は永久に不滅だ。さらば……わが愛)」

『それではみなさん! セクハラ変態キモブサ童貞包茎早漏ミソジニスト、炭谷一郎の入場です!』
「わーっ!」
「謝罪せよーっ!」
炭谷はステージの上へと挙げられた。
会場には女、女、女……それも炭谷のことを憎む女しかいないのであった。
「けいが守ってくれた私の人生……こんなことでくじけるわけにはいかぬ」
『気持ち悪い顔ですね炭谷さん。続いて、会長の上島千陽様の登場です!』
「きゃー!」
「いやー!」
「抱いてー!」
「おかっぱー!」
自信満々の笑みのおばさんがステージへと歩いてくる。
「さぁ! 謝りなさい! 炭谷! ここに膝まずいて謝るのよ!」
「……」
「早くしなさい! このぼんくら! これだから日本の男はだめなのよ! ねぇみなさん!」
「そうよそうよー!」
「上島様の言うとおりにしろー!」
「あぁ……あぁぁ……」
上島はブルブルと震えている。
観衆の声援に快感を覚えているのだろう。
「……黙って聞いてりゃこのブスババア! 許せねぇ! やっぱり俺はお前みたいな自信満々な男嫌いブスが大っ嫌いなんだよ! うおー!」
炭谷は思い切りズボンをずりさげた。
「ぎゃ~!」
「上島……タマ取ったるわ~!」
「たま!? 玉ですって!? またこの男はやらしいこと言って……」
「やかましいわ! うおー!」
炭谷は高速でチンチンをシコシコした。
「死ねや~!」
『ドビュッ!』
「きゃ~!」
『サッ』
『ベチョッ』
「危ないところだったわ」
「な……!」
間一髪のところで、上島は炭谷のザーメンをかわしたのであった」
「みなさん観たでしょう! これが男といういきものよ! これなら国連の承諾を得て、この男のことを死刑にできるわ! 今日この日は歴史的な瞬間よ! 女性が優位を勝ち取るための!」
「一郎!!!!」
客席から、ひときわ大きな声が響いてきた。
振り向く炭谷。
そこにいたのは……
「きー坊!」
「やれーっ! 一郎! そんな野郎殺っちまえ! わたしが許す! そんな奴がいるから女性の品格が下がりっぱなしなんだよ! 世界のために、殺れ~! 天罰じゃ~! ぷんぷきにゃんだよ」
「さすがきー坊だぜ! けど、どうすれば……渾身の一発をかわされてしまった。もう勃起できるかどうかもわからない……そうだ! けいまるともスウィートメモリーを思い返そう!」
炭谷は回想した。
そして……。
「……はっ! そう言えば……!」
炭谷はポケットを漁る。
そこにあったのは、小さなリモコンだった
「けい……最後の最後まで……無駄にはしない!」
炭谷はリモコンのスイッチを入れた。
『ヴヴウヴヴヴッヴヴヴヴヴヴヴッヴッ』
「あ、あぐひっ、んっぐ……!」
炭谷のアナルの中でバイブが振動する。
「これさえ、あればっ……!」
『ピピピピピピピピッ!』
「きゃー!」
上島は壇上を逃げ回るが、炭谷がザーメンを連射して逃げ場を無くしていく!
そして……。
「ぎゃっ!」
上島が足をひねり、その場に転倒した。
「田島……じゃない上野……じゃない、上島。チェックメイトだ……」
『ドビュ! ドビュッシー!』
炭谷は上島に顔射を果たした。
「いっ、いや~っ! 60年間日本人男から守り抜いてきたわたしのたおやかなお肌が! いや~っ! ぶぼわえ……ぶくぶく……」
上島の肌は溶けていき、やがて骨と服だけが残って完全に溶解してしまった。
「けい……全部、終わったよ……」
「終わった四じゃねーよクソ野郎!」
「死ね! 獣! 異常性欲者!」
「クソミソジニー野郎!」
「崩壊家庭!」
「包茎!」
「ぎゅん!」
炭谷はその後1万人の女性たちにリンチされ、死んだという。