このエントリの文章は、シンコシンクが冬に出す新作ノベルゲーム
『SPRAYLASH』
の本文ダイジェストになります。
19歳の青年が、ひたむきに自分の夢を追い求める熱血青春グラフィティになっています!

午後9時。
レッスンが終わっても自主的に居残って練習をしていく者がほとんどではあるが、
この時間になるとさすがに静けさに包まれている。
どの部屋も、すでに灯りは消えている……一か所を除いては。
一体のダッチワイフが置かれたその部屋にいるのは、一人の青年。
彼は手首をぐるぐると回転させて筋肉をほぐしながら、そのダッチワイフを睨みつけている。
彼は大きく深呼吸をすると、自分の右手にペペローションを大量に垂らし、全体にまんべんなく伸ばしていった。
そして、その右手を、ダッチワイフの局部にあてがった。
(最初は、ゆっくりと……)
ダッチワイフの局部には女性器を模した割れ目がある。
その奥はと言えば、TENGAと提携して作られた特製のホールになっているのである。
このホールの内部構造は、現実の女性がそうであるように、一つ一つが違った形状になっている。
(このタイプは……ここが刺激に弱いはずだ)
彼は内部を指の腹で撫でまわしながら、おおよその形状を調べていた。
徐々に手の動きを速めていく。
少しずつ、少しずつ……。
額から流れてくる汗をぬぐうこともせず、彼は全ての神経を、右手の指に集中させていた。
部屋の灯りに……あるいは、青年の発する熱に引き寄せられるようにして、一人の女がやって来たことにも気づかずに。
腕に少し疲れを感じ始めていたが、まだだ……テープが擦り切れるほど繰り返してみたビデオで、加藤鷹はもっと素早いフィンガーテクを披露していた。
信じられないような速さで手を動かしながら、あの人の顔は涼しげで、白い歯を覗かせながら微笑んですらいた。
あの人に追いつきたい……その思いを胸に、青年は来る日も来る日も練習に励んでいるのだった。
その時、背後で物音が聞こえた。
振り返ると、部屋の入り口で、一人の女が腕を組みながらこちらを見ていた。
あの姿……一度誰もが忘れることのできない、あの女だった。
彼はダッチワイフから手を抜いて、女のほうに向きなおった。
「名前は?」
女は表情を変えないまま、青年に問うた。
「テーマンです。フカセ・テーマンです」
「私が誰だか知っているか?」
「はい……パミュッチャーさんです」
そう。
彼女はここ、全米屈指のシェイファーセックステクニック学院の伝説的な講師、パミュッチャーなのである。
「ならば、私がテマンニストを募集していることも知っているな?」
「はい」
「なら、どうして練習をやめた?」
「え……?」
一瞬、彼女の言っている意味が理解できなかった。
しかし、その射抜くような視線が、どこか自分を見定めようとしていることに気付き、すぐにソレを再開した。
「Gスポ。倍テンだ。ワン、ツー」
彼女は手を叩いて拍を取った。
こちらの反応を待とうという様子は感じられない。
彼はすぐに指をGスポットに合わせ、刺激し始めた。
「倍テンと言っただろう。意味がわからないのか?」
「いえ、わかります。大丈夫です」
「ワン、ツー」
こちらの言葉には返事を返そうともせず、再び拍を取る。
Gスポット刺激……これまであまりやってこなかったテクニックである。
加藤鷹に憧れて……とにかく素早く動かすことだけを考えてきたようなものだった。
そのため、Gスポット刺激に必要な、指の圧力コントロールは不慣れなのであった。
しかし、今目の前にいるのは、学園でもトップの実力者と言われるピャミュッチャーである。
ここで彼女に見初められ、チームに引き入れてもらえたなら、自分の将来は約束されたようなものである。
彼の神経は今、中指と人差し指の第二関節を曲げるタイミングを間違えないことだけに注いでいた。
しかし……。
『バタン』
ドアが閉まる音で、現実に引き戻された。
どうやらパミョッチャーは去ったようだ。
……なにも言わずにやって来て、なにも言わずに去っていくなんて、どれほど勝手な人間なんだ……。
と思ったのも束の間、ドアが開けられ、ピャモッチョーが入って来た。
テーマンは希望に顔を輝かせ、みたびダッチワイフの局部に手を添えた。
「おっと。つけまつ毛を忘れた。つーけまつーけまつけまつけーる」

口ずさみながら、ピュマッチョーは壁に貼り付けていたつけまつげを自分の目元に付けて、再び去っていった。
これが、彼と彼女の出会いだった。

~中略~

ポポッポーのチームに引き入れられた彼は、朝礼を終えたあと、廊下に呼び出された。
「お前、父親はなにをしている?」
「AVの評論をしています。あと、学校の教師です」

「ほう。母親は?」
「出て行きました」
やおら、ポプップーはテーマンを壁際に詰めさせて、壁とテーマンを挟み込む形で向き合った。
そして壁に手を付く……いわゆる壁ドンの形を取った。
「加藤鷹やチョコボール向井、しみけんのプレイを観ろ。セックスをする理由があるな?」
「はい」
「言え。セックスをする理由がある」
「セックスをする理由があります!」
「よし。練習に戻るぞ」
ピャミョッチャーは彼に微笑みかけ、レッスン室へと戻っていった。

しかし……。

「おかしいな。それは私のテンポではない」
ピョミュッチョーは、テーマンのテンポのズレに執拗にこだわった。
そして……。
ピョミュッチューは、手元にあった電動コケシをテーマンに投げつけた。
テーマンは身をかがめてこけしをよけた。
こけしは壁にぶつかり、地面に落ちて振動を続けた。
『ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ』
「ノットマイチンポ! ノットマイクアイトチンポッ!」
『ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ』
彼女はテンポがずれるたびに、彼の頬を打った。
「ジーザスクライスト! 泣いていやがる! お前は私が虹色に見えるのか? そんなことで同情を引けると思ったら……」
「はい、虹色に見えます」
その日のパミュッチャーは服も髪の色も虹色であった。
「そういう意味で言っているんじゃあ、ない!」
彼女は彼の腹に蹴りを入れた。
その一発は、特に理不尽であった。
「負け犬の父親に育てられたクソ野郎め! お前の母さんもそれに気づいたから出て行ったんだ! みじめなミソジニー野郎が! 女への恨みを果たすためにセックスの道へ進んだんだろう? どこまでもみっともない野郎だ」

彼女の彼に対する常軌を逸した訓練は続いた。
しかし、彼のほうも脱落することなく、プライベートの時間を無くし、さらには寝食の時間も削って練習に打ち込んだ。
当然手の腱はガタガタになり、指にはマメができる。
そしてそのマメも潰れて、ついには指が血だらけになるのであった。
それでも彼は続ける。
偉大なるAV男優になるために……。

テーマンはコンテストで優秀な成績を残した。
しかし、ポモッチャーは、テゴシなる男を連れて来て、テーマンの代役に立てると言いだした。
テーマンはついに我慢の限界を迎え、彼女を押し倒して首を絞めた。
「殺してやる! ふざけやがって!!!」
テーマンは周囲の人間に取り押さえられ、部屋を追い出された。

そしてテーマンは学園を退学させられることになった。
時を同じくして、パミュッチャーも、過去に生徒を虐待し、自殺に追い込んだ問題が浮上した。
また、テゴシの関係がフライデーされたことで、追放されることになったのだ。

そして時は過ぎ、普通の大学生としてあたらな暮らしを送っていたテーマンは、地元のダンスフェスティバルでパミュッチャーと再会するのであった。

「テーマン。来週、六本木ヒルズで乱交パーティがあるんだ。乱交パーティで繋がった人に仕事を回すのが芸能界の慣習だというのは、お前も知っていることだろう? ここから私は、再び芸能界で地位を築いていこうと考えている」
「はぁ……」
「今、私が揃えているチームの、テマンニストが、こう……。良くないんだ。お前、やる気はないか?」
「……けど、あなたは以前、テゴシと……テゴシのを手でごしごし……」
「あれは、お前にやる気を出させるための起爆剤でしかない。それは、もったい体を許してしまったという側面もある。そう、芸能界で働く女として『ジャニーズとヤッておいたほうが拍が付く』ものなのだよ。長い下積み時代を経験してきた私にとって、ジャニタレが言い寄ってきたら、それは、もったいないから・もったいないから♪ 一度はヤッてしまうのも、わかるだろう?」

「それに、その時はしばらく忙しく過ごしていて、性欲処理を怠っていたということもある。性欲モンスタ~♪ と化していたのだよ」

「とにかくそういうわけだ。週末で考えてくれ」

考える必要などなかった。
テーマンはクローゼットの奥からTENGAを引っ張り出してきて、すぐに練習を始めた。
そして……。

テーマンはビキニパンツ一丁で、六本木ヒルズの一室にいた。
すでにパーティの参加者はそろっており、そこは異様な熱気に包まれていた。
この感じだ……緊張感と興奮が混ざり合った、この独特の感覚。
そんな中、パモッチューが入って来て、彼のもとへ歩み寄ってきた。
彼は笑顔で答える。
「今日は僕を呼んでくださって本当にありがとうございます。
「私をなめるな」
「えっ? なめられるの大好きっ……って言ってたじゃないですか」
「違う! そういうナメじゃない。密告したのはお前だな?」
「……え?」
彼の返事を待たず、彼女は部屋の中央へと進み出た。
「みなさん、今日はようこそお集まりくださいました。私ぱみゅっちゃーが主宰する乱交パーティ……つまり、世界で最高の乱交パーティということですw」
「わっははははwwwww」
下着姿の参加者たちは笑いに沸き立った。
「さて、今回のパーティですが、こちらの新作ピンクローターを用いたプレイがメインとなっております。その名も『ピンクローターピンクローター』です」

タキシードに蝶ネクタイを締めたスタッフが、男性参加者にピンクローターを配って回る。
そして、吹かせにも、その一つを手渡した。
こんな話……聞いていない。
それに、俺が機械の扱いが苦手なことは、ぱむっちゃーも知っているはずだ。
冷汗が背中を伝うのを感じながら、ぱみゃっちゃーの顔を見る。
彼女の顔にはにたりとしたいやらしい笑みが貼りついていた。
……まさか……?
「それでは、パーティの始まりです! おっしゃ! れっつ・ローター乱交だっだっだっ・乱交だ~!」
ぴゃみゅっちゃーが合図を出すと、参加者たちは一斉に動き出した。
「あんた、なにやってるのよ! ふざけてるの!?」
最初に彼と絡んだ女性は、そう言ってなじった。
無理もない……ローターをまともに扱うのは、これが初めてなのだから。
彼は縮こまるしかなかった……そして、そんな彼を観てほくそ笑むぱみゅぱみゅ。
「では、第一幕はこれまでとしましょう。小休止ののち、お相手を変えて第二回戦です」
彼は黙って立ち上がり、部屋の出ようとドアを開けた。
そこにはSAWORIが立っていた。
「大丈夫だよ……」
SAWORIは彼を抱きしめた、温かく受け入れた。
しかし彼は、決意を新たにし、部屋に戻って来た。
そして話をしているパミュッチャーの局部に手を当て、いきなり早いテンポで動かし始めた。
「お前……いったいどういうつもりだ!」
「僕が合図を出す! スリー、フォー!」
場内の男たちは彼の合図に従い、素手で女性たちを刺激し始める!

壮絶なラスト10分間を見逃すな!

「お……おぉ……テーマン……!!!」
彼のプレイを一度たりとも褒めたことのなかった彼女が、今は言葉を交わさずに、しかし彼のやろうとしていることを助ける!
そして彼女から溢れ出た愛液は、山中湖となった。
そこで開催される音楽フェスの名は……スウィート・ラブ・シャワー。